断熱防露工事

ウレタン工事と現場火災(そのとても危険な因果関係)要注意です!

2008年1月6日

以前、断熱防露工事の記事にて、現場発泡ウレタン施工に関しては、いろいろ書いております。

今回はウレタン施工と火災の因果関係を記述します。
ウレタンは工場生産品と現場発泡の2種類があります。

吹付硬質ウレタンフォームは、シームレスの断熱層が形成できること、断熱性能が優れていること等から、近年断熱材の市場で3割以上のシェアを占め、今後も増加の傾向を示しています。

この工法は、現場において原料を化学反応させてウレタンフォームを生成するものです。

吹付けに使用するミキシングガン(スプレーガン)に2種類の原料を送り込み、当該ミキシングガン内部で混合して吹き付け、吹き付けられた対象物上で化学反応と発泡を進行させ、硬質ウレタンフォームを形成するものです。

また、発泡中に対象物と接着し、発泡終了後は強力な接着力を発揮します。

今、日本で建てられている内断熱マンションのほとんどは、現場発泡硬質ウレタンによる吹付工法となっています。

施工中は火災の危険があるため、火気厳禁です。

発泡ウレタン工事において、以前は火災に合うと材料から有毒ガスが発生していましたが、現在は、有毒ガスが発生しにくい、あるいは発生しない製品になっています。

<難燃性>硬質ウレタンフォームといわれるものは、その用途に応じた燃焼試験を行い、難燃性と判定されたフォームであることを意味しています。

例えば、建築用断熱材として、準不燃材料、難燃材料の認定を受けた製品などがあり、難燃処理をしていない硬質ウレタンフォームと比べて火炎の伝播や発煙量を少なくする処理が施されています。

硬質ウレタンフォームの難燃性はJIS A 9511、9526、1321などで規定された試験によって評価されますが、これらの試験は一定の条件下での材料の燃焼性の比較を目的としたものであり、必ずしも実際の火災時の危険性を反映したものではありません。

従って、これらの試験に合格したもの、あるいは準不燃・難燃材料の認定をうけている材料であっても火気に接すると燃焼します。

施工における火災防止対策として、下記が挙げられます。
(1) 元方事業者等統括管理義務者の実施すべき事項について

A.使用する断熱材の種類及び燃焼性について確認を行うこと。
また改修工事等にあっては、使用されている断熱材の種類及び燃焼性について確認を行うこと。

B.発泡系断熱材を使用する、又は使用されていることを確認した場合には、当該場所に、その旨と火気厳禁についての表示を行うこと。

C.当該作業場所に立ち入ることとなる関係請負人のすべての労働者に対し、新規入場時教育等において、発泡断熱材を使用する作業及び使用されている場所並びにその危険性について周知するための教育の実施状況の確認を行うこと。
また、必要に応じて自ら教育を実施すること。

D.発泡断熱材を使用する作業又は使用されている場所における作業を実施させるに当たっては、火気管理を含む内容の作業計画を策定するとともに、関係請負人にその内容を周知すること。

E.発泡断熱材を使用する場合は、当該作業中及び作業実施後において、当該場所において火気を使用することとならない作業計画を策定し、その徹底を図ること。

F.発泡断熱材を使用している場所でやむを得ず火気を使用する作業を行う場合には、発泡プラスチック系断熱材を使用している場所を不燃性のボード、シート等で遮蔽するとともに、あらかじめ適切な消火器を配置する等消火のための対策を講じさせること。

(2) 発泡断熱材を使用する作業又は使用している場所において火気を取り扱う作業を行う関係請負人の実施すべき事項について

A.作業に従事する労働者に発泡断熱材の危険性、火気管理対策等について十分な教育を実施すること。
また、その結果について元方事業者等に報告すること。

B.作業を行うに当たっては、火気管理等を含む作業計画を策定すること。
当該作業計画の策定に当たっては、元方事業場等に報告し、必要な調整を行うこと。

C.発泡断熱材を使用する作業及び使用されている場所で火気を使用する作業を行う場合には、当該作業を指揮する者を定めるとともに、その者に直接作業を指揮させること。

D.発泡断熱材を保管している場所には、仮置場所を含め、その旨と火気の使用を厳禁する旨の表示を行うこと。

E.現場の整理整頓を行い、原材料等を放置しないこと。

最近は、ウレタン施工に起因する酸欠事故も発生しています。

その過去の事故例です↓

<マンション新築工事において、2名の労働者が1階床下に入ってウレタンフォーム吹付けによる断熱工事を行っていたところ、発泡剤として使用していたフロンガスが空気と置換して生じた酸素欠乏空気を吸入して酸素欠乏症となった。

その後、ウレタンが燃焼し、燃焼ガスによる中毒及び全身熱傷になった>

発泡剤には、フロン又は代替フロンが用いられているため、床下、天井裏その他の通風が不十分な場所において施工すると、フロン等が空気と置換して、酸素欠乏状態になるおそれがあるのです。

いずれにしても、現場発泡ウレタン工事においては、正しい環境での安全な作業が必須である工事の一つです。

下記写真は、某現場の火気厳禁表示状況です。

ウレタン火災01

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