建物が完成すると、竣工式を行う場合が多々あります。
つまり、建築主が工事関係者に工事が完成したお祝いに、感謝の一席を設けるのがその主旨です。
出席者には、建築主サイドの来客が含まれます。
建築主の親兄弟親戚、土地の紹介者、町内会会長、銀行の支店長、議員などなどです。
工事関係者に含まれるのは、設計事務所、施工会社、工事に何らかのかたちで携わった業者などなどです。
つまり、この建築物が完成したことに対するお祝いをしたいという方々が基本的には、出席することになります。
さて、そのときその現場の工事所長は、末席にて何を考え何を感じているでしょうか?
すくなくとも、私は、いまこの時期この時点から、この建物の補修工事が始まる、暗雲たちこもる<起工式>だと感じていました。
建物は、完成した瞬間から老化が始まります。
もちろん技術屋である以上、完璧な施工をほどこすことは、当たり前のことです。
しかし、起きるのですね。
いろいろなことがかならず。
まづ6ヶ月、これは、その建物が、完成してから初めて迎える季節の変わり目です。
夏に完成すれば、初めての冬。
(つまりその建物の断熱性、雪害などが初めて試される時期です)
冬に完成すれば、初めての夏。
(梅雨、台風、冷房性能などが試されます)
完成後2年、そろそろ悪い虫が建物につき始めます。
モルタルの亀裂、コーキングの劣化、金物周りのさび、などなど。
建物の基本的な瑕疵担保期間も切れる時期です。(構造上重要な瑕疵は10年です)
施工業者の中にも、呼べど姿を見せずといった者も現われだすのがこの時期からです。
その後に関しては、後日書き留めたいと考えています。
いづれにしても、<建築主/設計事務所/施工会社>この3者が、お互いに信頼関係を保ち、建築物を末永く保守管理していくことが、一番大切なことだと感じます。

絵と写真でみる建物保守学
坂東 治重
427450106X





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