鉄筋工事

僕は少しずつ「鉄筋のかぶり確保」の話ができるようになっていた。

2011年6月7日

鉄筋を組み立てる際の大切な注意事項として、かぶり厚さ確保があります。

コンクリートと鉄筋との付着を確保し、鉄筋の腐食を防ぎ、火災に対して鉄筋を保護するためには、鉄筋をコンクリートで十分に包んでおく必要があります。

一言で言いあらわせば、かぶり厚さ確保の理由は、耐久性の確保です。

コンクリート中に配置される鉄筋の最外面からコンクリート表面までの距離、すなわちかぶり厚さが、施工基準で厳密に規定されています。

少し詳しく説明します。

鉄筋が錆びてしまうと膨張して、コンクリートを破壊します。

コンクリート自体は、非常に強い塩基性(アルカリ性)物質で構成されています。

その為、鉄筋がコンクリートに包まれると、そのアルカリ性により、表面に錆びにくい不動態皮膜が形成され、錆びにくくなります。

しかし、コンクリートは空気に触れる表面部分から、空気中のCO2と反応し、塩基性の基である水酸化カルシウムが、炭酸カルシウムに変化していき、そのアルカリ性を失っていきます。

これが、コンクリートの中性化です。

中性化が進行することにより、鉄筋が錆びて、コンクリートの強度にも影響してゆきます。

下表は、かぶり厚さの仕様書に記載されている基準値です↓
(クリック拡大)

 

 

 

 

  1. ※印のかぶり厚さは、普通コンクリートに適用し、軽量コンクリートの場合は、特記による。
  2. 「仕上げあり」とは、モルタル塗などの仕上げのあるものとし、鉄筋の耐久性上有効でない仕上げ(仕上げ塗材、吹付または塗装など)のものを除く。
  3. スラブ、梁、基礎及び擁壁で、直接土に接する部分のかぶり厚さには、捨てコンクリートの厚さを含まない。
  4. 杭基礎の場合のかぶり厚さは、杭天端からとする。
  5. 塩害を受ける恐れのある部分など、耐久性上不利な箇所は、特記による。

それでは、材質によるそれぞれの特徴を記載します。
スペーサーの一般的な材質としては、プラスチック製、鋼製、コンクリート製、モルタル製、セラミック製等があリます。

最初に、プラスチック製です。

プラスチック製は安価であり、軽くて錆びず丈夫であって使い勝手がよいことから、建築工事では多く使用されています。

しかし、コンクリートとの熱膨張率の相違、付着及び耐荷力不足等の問題があります。

その結果、コンクリートにひび割れが発生し、そこから水等が侵入して鉄筋が錆び、構造物の弱体化を招く恐れがあるため、使用や施工には注意を要しなければなりません。

形状はメーカーによって様々ですが、壁や柱には車輪の形をしたドーナツ型、スラブや梁にはサイコロ型が主に用いられます。

下記写真は、プラスチック製ドーナツ型の材料とその使用例です↓

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右側は、断熱材部分に直接スペーサーをあてると、断熱材がへこんでしまうので、鉄板をあてて施工している状況です。

続いて、鋼製型です。

鋼製は、プラスチック製より重量はあるものの安価で使い勝手がよく、加工の容易さからバー型を始めとして様々な形状のものが製作されています。

土木工事、建築工事問わず使用されています。

鋼製を使用する場合は、本体の鉄筋と同等以上の品質を有するものを使用する必要があります。

通常、型枠と接する部分には防錆処理が行われます。

ただしこの場合、スペーサーがコンクリート表面に露出することとなるため、この部分から錆び始め、徐々に内部の鉄筋まで腐食し、鉄筋コンクリート構造物の強度を低下させる恐れがあります。

また、表面の錆は外観上の問題も発生します。

土壌や水の塩分濃度が高い場所、温泉地域などでは腐食する恐れがあるので、使用には充分な注意を要します。

下記写真は、スラブ筋に使用するための、鋼製スペーサーです。

本体は、鋼製ですが、脚の部分が錆防止のために、プラスチック製となっています。

材料と、使用方法の写真です↓
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もうひとつ、コンクリート製・モルタル製です。

コンクリート製、モルタル製は耐久性があり、生コンクリートとの親和性が高いことから、トンネルや地下構造物、海洋構造物などの土木工事で多く用いられています。

また建築工事でも基礎などで使用されています。

基礎、スラブ、梁などではサイコロ型やブロック型、壁や柱では馬蹄型、ロケット型、ドーナツ型などがあります。

モルタル製、コンクリート製を使用する場合は、本体コンクリートと同等以上の品質を有するものを使用する必要があります。

型枠と接する部分では、モルタル製あるいはコンクリート製を用いることが原則とされています。

コンクリート製、モルタル製は、プラスチック製、鋼製と比べて鉄筋へ固定する方法が難しいです。

そのため、フック、グリップ、キャッチャー、結束線などが材料についているものを使用して固定していますが、固定力はプラスチック製などと比べて劣ることがあります。

また、コンクリート製、モルタル製は重いため、使い勝手はプラスチック製などよりは劣ります。

基礎などで用いられる四角いサイコロ型のスペーサーは、その形から「キャラメル」と呼ばれています。

最後に、ステンレス製です。

ステンレス製は、強度はコンクリート製、モルタル製と同等であり、使い勝手はそれよりも良いものが多いです。

しかし、鉄筋との異種金属間の接触腐食については、不明確な点もあり、使用頻度は他のものと比べて低いようです。

以上、いろいろな種類がありますが、適正な製品を選択することが大切です。

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参考入り数:150 ☆ 1個価格上下筋スペーサー PL付 H 30 X 100

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