耐火被覆工事

火災を防ぐ!驚愕の岩綿吹付工法(耐火被覆の代表選手)

2008年6月15日

以前の記事にて、耐火被覆工法の一つとして、「マキベエ」と名打つ、巻付け工法を紹介しました。

今回は昔より、一般的に施工されている「岩綿吹付け工法」を掲載します。

この工法を初めて管理する方は、必ずご覧下さい!
岩綿吹付けは、不燃材料で、耐火性に優れており、耐火被覆の代表的な工法です。

鉄骨骨組等の耐火被覆で用いられ、ロックウール粒状綿を主原料とし、セメントを硬化材として、専用の吹付け機を用いて鉄骨などの下地に吹付け、被覆を構築する工法です。

一定の被覆層をつくる有機物を含まない現場施工の不燃製品です。

耐火・断熱・吸音性に優れさまざまな用途に使用されています。

下の写真は、施工後(鉄骨梁)に、厚さを自主検査している様子です↓

もともと岩綿とは、石綿代用品として発明された鉱石を原料とした繊維状物質保温材です。

各種プラントや、船舶・車輌などの産業分野で幅広く使用されている他、建築用としても耐火・断熱・防音を目的としてビル・工場・一般住宅に 至るまで数多くの建物で使用されています。

数年前から世間を騒がしている「石綿」との違いを、一言でいうのなら、「結晶構造」という物の違いです。

石綿(アスベスト)は、非常に小さい針のような形の結晶が集まって出来ています。

そして、この結晶の面に従って剥がれたり破けたりしやすい性質があります。

よって、壊れるほど小さい針になるので、肺の細胞などに刺さってしまい、最終的には癌の原因となります。

一方,岩綿(ロックウール)は,人工的に天然の岩石を高熱で溶かして,それを細いノズルから噴出させて繊維状にしたものです。

ガラス繊維と同じく、結晶構造をもっていません。

よって、細かい針状の結晶が飛び散るということがありません。

つまり、アスベストとロックウールの大きな違いは,繊維の径で,一般的にロックウールの方が数百倍,数千倍,径が大きいため、空気中に飛散しづらく、健康を損ねる危険性が非常に低いのです。

岩綿吹付け工法の、主な特徴として下記が挙げられます。

  1. 耐火性・不燃性に優れています。
  2. 吸音性能・断熱性に優れています。
  3. ロックウール(粒状綿)とセメントを材料としているので、軽量で、施工性に優れています。
  4. 現場吹付け施工なので、複雑な形状にも容易に適用でき、継ぎ目のない連続した被覆層が形成できます。
  5. 施工・乾燥がともに速く、高層階への圧送もできるので、工期の短縮となり経済的です。
  6. もちろん、火災にあっても発煙もなく有害ガスの発生もありません。

国土交通大臣認定の、吹付けロックウール被覆耐火構造で認めている施工方法には、次の2つの工法があります。

1.乾式工法(工場配合材料を用いる工法)

ロックウールとセメントをあらかじめ工場にて混合した材料を吹付け施工機械で圧送し、ノズル先端の周囲から噴霧される水で包み込み、材料を湿潤させながら均一に下地に吹付ける工法。

2.半乾式工法(セメントスラリーを用いる現場配合工法)

水とセメントをあらかじめ攪拌装置のあるスラリー槽で混合し、吹付け施工機械で圧送されたロックウールをセメントスラリーと混合しながら均一に下地に吹付ける工法。

耐火材吹付けの施工における注意事項です。

(a) 耐火材吹付けの材料及び工法は,建築基準法に基づき認定を受けたものとします。

(b) 施工に先立ち,支障となる浮き錆,付着油等は除去しなければなりません。

(c) 耐火材の吹付け厚さは,確認ピンを用いて確認します。

スラブ及び壁面については2m2程度につき1箇所以上とし、柱は1面に各1箇所以上、梁は1本当たり、ウェブ両側に各1本、下フランジ下面に1本、下フランジ端部両側に各1本差し込んで確認します。

なお、確認ピンは,そのまま存置しておきます。

(d) 吹付けを行う場合は,十分な養生を行い,飛散防止に努めます。

これは非常に大切な作業のひとつであり、吹付けに際し、粉じんが外部に飛散しないように、シート等で囲い、必要に応じ、作業区画毎に養生囲いを行わなければなりません。

下記写真の左側は、ロックウール材料です。

右側は、吹付け施工機械です。

(クリック拡大)
岩綿材料01 岩綿吹付装置01

左が、鉄骨造の梁に、岩綿を吹付けている施工状況写真です。

右側が、柱における岩綿の吹付け厚さを、確認ピンを用いて確認している写真です。

(クリック拡大)
岩綿吹付状況01 岩綿厚さ確認01

 

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