今回は、実際に現場で行われた「曳家」工事を、多くの工事写真と共に紹介いたします。
そもそも「曳家」とは、住宅など建物の移動に用いられてきた工法で、建物を基礎から切り離し、コロにより建物そのものには影響させないで目的の場所へ移築する方法を指します。
家を曳く(ひく)から、曳家(ひきや)です。
建物を移動する原因(理由)は、下記等が挙げられます。
- 都市計画により、道路拡張に支障をきたす。
- 土地区画整理などで、建物を移動する。
- 陽当たり改善のため建物の向きを変える。
- 立地条件の変化(隣地に支障、落雪など)
- 増改築に伴う、建物位置変更
- 建物の利用目的の変更(店舗に改修するので正面に駐車場が必要など)
- 敷地の有効利用(建物を持ち上げ、その下に駐車場をつくるなど)
同じ建物を曳くのでもいろいろな工法があります。
種類としては、土台揚げ工法、姿曳移動工法、腰付移動工法、基礎共移動工法が、広く施工されております。
1.土台揚げ工法
土台をH鋼またはレールで根固めし、油圧ジャッキを集中管理して揚家します。
建物の下で基礎を新設したり、基礎の補強をします。
新設又は補強した基礎にジャッキで下降させ基礎に据付けします。
2.姿曳移動工法(下腰工法)
H鋼およびレールを土台の下に設置して、油圧ジャッキを集中管理し、建物をジャッキアツプして基礎と土台を切離して、新設した基礎に家屋を移動させ、新設基礎に据付ます。
土台の下に鋼材を入れ建物を受け、移動する工法です。
3.腰付移動工法(上腰工法)
土台と床の間に鋼材を通して、鋼材と柱をワイヤー又は締付けボルトで締結し、建物を移動する工法です。
土台のない木造住宅、神社、仏閣などで施工されます。
4.基礎共移動工法(総受工法)
建物を基礎と共に移動する工法で、RC造り建造物、重量鉄骨、軽量鉄骨住宅、ハウスメーカー住宅などを基礎から移動します。
さて、今回行なった曳家は、寺社で、上記2番目の工法である「姿曳移動工法」にて、施工しました。
つまり、建物ごとレールの上に乗せ、ゆっくりと移動させていくという方法です。
最初に、内部の須弥壇関係・備品・家具等を、撤去移設して、床を剥がしました。
その後、土台を切り離しました。
下記写真参照↓
(クリック拡大)
続いて、ジャッキアップを行い、建物を浮かします。
井桁に架台を組み上げ、建物全体のレベル調整を行います。
レールをセットして、ワイヤーを掛ける段取りをします。
建物移動のための台車をセットし、いよいよ、曳家が始まります。
レールの上には、コロを敷きます。
もちろん、移動する前に、新しい基礎を施工しておかなければなりません。
ここまでの流れを実際の写真にて、確認してみてください↓
(クリック拡大)
そして、完成です↓
(クリック拡大)
現在の曳家工事は、木造、鉄骨造、RC造を問わず施工出来ます。
住居の場合、住みながらでも移動できます。
その他、地震や台風で傾いた建物を、まっすぐに戻したり、建物はそのままで、老朽化した基礎だけをやり直すことも出来ます。
国土交通省の主要プロジェクト紹介で、旧官邸の曳家工事が、記事になっています。
建物重量約2万トンの旧官邸を、東へ8度回転させつつ、南へ約50m移動した工事です。
非常にわかりやすい手順の、図面が見られますので、一度訪れてみてください↓
日本では、かなり昔の奈良時代に、「ころ」と「丸太」と「レール」がすでに使われていたそうです。
現在の曳家工法においても、レールを使用し、「コロ」に乗せた建物を、ウインチで曳き、目的地まで移動します。
時代は、移り変わっても、その原理は、昔も今も同じです。
建築(施工)の世界も、過去の知恵と工夫が大切なのは、今後も変わらないと考えます。
前々回に引き続き、「塗替え」工事を紹介します。
塗床の種類は、耐久性エポキシ床材です。
それでは、以前紹介した下地処理完了以降を、説明してゆきます。
最初に施工にあたり、材料の取扱注意事項です。
1.火気厳禁
エポキシ材は、危険物に分類されており、引火性または可燃性の材料です。
そのため、材料保管時や施工時における現場付近での喫煙・溶接作業などの火気の使用は避けなければなりません。
万が一の火災に備えて消火器を用意します。
2.換気対策
有機溶剤の揮発により作業室内に有機溶剤が充満した場合は、爆発や酸欠・急性有機溶剤中毒の危険性があります。
送風機などを使用し換気する必要があります。
また、換気が十分にできない場合は、有機溶剤用のマスクの着用などが必要です。
3.保護具の使用
エポキシ材や洗浄剤が皮膚に接触すると、発赤やかぶれなどの皮膚炎症が出ることがあるので、取扱時に保護手袋・保護衣を着用します。
4.材料保管
直射日光・雨・雪の当たらない屋内に保管します。
加熱される場所や火気の周囲には保管せず、40度以下の温度で保管します。
容器は、密栓した状態で保管します。
それでは施工手順です。
下地処理が終わると、いよいよ塗床の工程に入っていきます。
床用塗料の施工のステップ
(今回、某建築現場にて使用した、ABC紹介の耐久性エポキシ床材ーNに基づいて、説明します)
1.プライマー
プライマーの役目は、密着性向上、吸い込み止め、アルカリ押さえなどです。
使用材料
ケミクリートEプライマー
施工方法
ローラー刷毛で均一に塗布する。
塗布間隔
3時間
下記写真は某建築工事現場における、プライマー塗布状況です↓
(クリック拡大)

2.下塗
使用材料
耐久性エポキシ材
施工方法
エポキシ材の基剤と硬化剤を既定の配合で混合し、金ゴテでシゴキ塗布し、ピンホール止めを行う。
塗布間隔
20度以上 10時間
10~20度 18時間
5~15度 24時間
3.墨だし
色分け、ライン、文字書きなどがある場合は、この時点で、位置を出します。
4.上塗
使用材料
耐久性エポキシ材(下塗りと同じ)
施工方法
エポキシ材の基剤と硬化剤を既定の配合で混合し、金ゴテで塗り広げる。
その後、金ゴテで平滑に仕上げ押えをします。
養生
72時間
5.色分け・ライン・文字入れ
上塗り材で、墨出しの位置に従い、色分けします。
下記写真は、色分け・文字書き込み状況です↓
(クリック拡大)

6.完成
その後2日間、養生をして完成です。
(温度23℃、湿度50%時において)
各メーカーそれぞれで、施行技術資料(マニュアル)がありますので、熟読し施工にあたることが大切です。
すべての工事工程に言えることですが、下地と施工環境がすべてです。
この部分は特に気を使わなければなりません。
下地状態や施工部位・気温などの施工条件によって、標準仕様が変化することもあります。
後の補修が困難な場合が多いので、注意する必要があるでしょう。
フロアーシールS 18リットル(9リットル×2) コンクリート床用クリアータイプローラー塗り防塵塗料
ユータッククリーンE U-64 4kgセット 日本特殊塗料
塗床の、塗替え工事を紹介します。
塗床工事は、以前も一度、記事「塗床工法(フェロコンハード)」にしています。
今回は、既存の工場の床を、耐久性エポキシ床材で、塗替える工法・手順です。
塗替え工事で、一番大切なことは、現場を事前に、十分調査することです。
この調査結果を検討し、材料の種類、作業工程、などが決定されます。
塗床は、多くの工場・倉庫・事務所などの床面に、施されています。
経済的で、耐久性・機能性等に優れた材料です。
しかし、塗床もハードな条件下では、次第に傷んできます。
また、材料の耐久性にはもちろん限界もあり、劣化も進んできます。
床用の塗料に求められる機能・性能は、下記です。
美観、
耐久性・耐摩耗性、
耐候性、
耐荷重・耐衝撃性、
耐薬品性・耐油性、
耐水性⇔透湿性、
防汚性能・防塵性・抗菌性、
清潔性・清掃の容易さ、
強度⇔柔軟性、
下地との相性、
安全性(防滑性)、
クラック追従性、
速乾性(業務への影響)、
環境性能(VOC含有度)、
作業性(施工時の)、
タッチアップ性(補修の容易さ)、
経済性
既存床のこのような機能・性能を変えること無く、塗替え工事をおこないます。
手順は以下です。
床用塗料の塗替え工事 施工手順
【1】下地調査 下地の材質、状態を確認します。(傷み、汚れ、割れ…等)
【2】撤去調整 既存の床の塗床材を撤去し、サンディング処理を行います。
【3】素地調整 下地の汚れ落とし、突起物、ゴミ・ダスト、クラック・不陸の修正、目荒らしなどを行ないます。
下記写真は、某建築工事現場の、塗床撤去状況です↓
(クリック拡大)


床研磨機(ハツリ機・ポリッシャー)などを使用して、床材を撤去しています↓
(クリック拡大)


その後は、一般的なエポキシ塗床の工程・作業手順となります。
以下、次回とします。
カテゴリー「26.改修・改築工事」の、2回目の記事です。
今回は、「グラウト工事」を紹介します。
グラウト(grout)とは、建設工事において空洞、空隙、隙間、目地、ひび割れ、などを埋めるために注入する流動性の液体のことです。
注入する作業を、グラウチング(grouting)、薬液注入ともいいます。
細かい隙間を充填するために、注入用材料として用いるのは、セメントペースト又はモルタル及び専用材です。
用途は、
地盤改良、岩盤の補強、湧き水箇所、コンクリート構造物のひび割れ補修、鉄骨・鉄筋の充填材、鉄骨柱等のベース下モルタル、補修材料の他、とても広いです。
建築物の、耐震補強などにも、よく用いられます。
つまり、
・RC造耐震壁による補強
・鉄骨ブレースによる補強
・柱の鋼鉄巻き補強など、
既存コンクリート部材と補強部材との間を接合するため、グラウト材(無収縮モルタル)を圧入・注入し施工します。
材料の注入する材料には、懸濁液、乳濁液、薬液(ケミカルグラウト)などの種類があります。
グラウト用無収縮材には、以下の特徴があります。
※ 特長
1. 施工が容易です。
モルタルの流動性が優れており、空隙のない完全なグラウトが可能です。
2. 構造物との一体化が図れます
空隙の発生を招くブリーディング現象がなく、適度の膨張性と長期に安定した無収縮により沈下、収縮を防ぎ、構造物との付着性を高めます。
3. 十分な耐力を有します
若材齢より高い強度を有し、長期強度の発現性に優れ、適正な養生により、打設後1日~3日で実用強度が得られます。
4. 高温・低温においても品質保持されます
高温時(35℃)、寒冷時(5℃)など厳しい外気下においても良質なモルタルが得られます。
5. 経済的です
優れた品質と良好な施工性から、総合的に工事費を削減します。
それでは材料の紹介です。
某現場において、グラウト用無収縮材として、「デンカタスコン」を使用しました。
デンカタスコンは、デンカが我国で初めて開発したカルシウム・サルフォ・アルミネート系膨張材を活用した、セメント系無収縮グラウト材です。
基本的な材料は、無収縮材、セメント、砂、水です。
それぞれの分量を計測して、グラウト注入材を作ります。
下記写真は、某現場にて使用した「グラウト」です(材料計量状況)↓
(クリック拡大)


圧送するポンプは、以前「床モルタル打設状況」で紹介した、モルタル打設用ポンプです↓
(クリック拡大)

実際に、某改修現場での、グラウト注入施工状況です↓
(クリック拡大)


グラウト注入は、
現在、耐震補強工事を含め、いろいろな建築現場において、使用されている工法です。
適正な材料を、適正に使用し施工することが大切だと考えます。
「デンカタスコン」カタログ
恒久グラウト・本設注入工法―薬液注入の耐久性と耐震補強の設計施工
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