いままでの記事において、建物を漏水から守るべき防水工法として、アスファルト防水、無機質浸透性防水、ウレタン防水、シート防水を紹介してきましたが、今回は基本である「アスファルト防水」を一歩踏み込んで記載します。
過去記事「アスファルト防水」も合わせて目を通してみて下さい。
基本的にアスファルト防水とは、アスファルトルーフィングを、260〜 280℃で溶融させたアスファルトで、コンクリート下地等に貼り付けていき、同じ工程を繰り返しながら2枚から3枚以上、複数貼り重ねて防水層を作り上げる工法です。
ルーフィングの材質は、合成繊維不織布や有機繊維原紙、ガラス繊維などの基材にアスファルトを含浸塗覆させて、作られています。
この防水工法は、100年以上の歴史を誇り、現在でも日本建築学会や官公庁の防水工事共通仕様書の標準仕様として、防水業界の主流工法となっています。
それでは、工法です。
大きく分けると、密着工法と、絶縁工法があります。
密着仕様とは、下地に防水層を全面密着させる仕様であり、アスファルト防水では押えコンクリート仕上げの「押え防水」や、室内防水(厨房・浴室など)などに採用されます。
絶縁仕様は、下地に対して防水層を部分接着させる仕様で、ルーフィングを施工する前に「穴あきルーフィング」を敷き込み絶縁機能を設けます。
これは、下地の挙動からアスファルト防水層の破断を防ぐ目的で開発され、露出防水では下地からの湿気による防水層のフクレを防ぐ目的もあり、脱気システムと併用されます。
次に使用材料です。
(a) アスファルトプライマー
これは、どのような仕様の防水層においても、一番最初にコンクリート下地に塗布する材料です。
アスファルトを主成分としたもので、アスファルトの接着に適するものとし、アスファルトルーフィング類製造所の指定する製品とします。
下記写真は、某現場にて使用したプライマー材料です↓(クリック拡大)

(b) アスファルト
溶融釜にて溶かして使用します。
JIS K 2207(石油アスファルト)による防水工事用アスファルトとします。
(c) アスファルトルーフィング類
下記のような種類があります。
(1) アスファルトルーフィング-JIS A 6005(アスファルトルーフィングフェルト)
(2) 砂付ストレッチルーフィング-JIS A 6022(ストレッチアスファルトルーフィングフェルト)
(3) 網状アスファルトルーフィング-JIS A 6012(網状アスファルトルーフィング)合成繊維ルーフィング
(4) 砂付あなあきルーフィング-JIS A 6023(あなあきアスファルトルーフィングフェルト)
(5) ストレッチルーフィング-JIS A 6022ストレッチルーフィング1000
(d)その他の使用材料
(1)防水層端部の止水に用いるシール材
ゴムアスファルト系とし、アスファルトルーフィング類製造所の指定する製品とします。
(2) 絶縁用テープ
アスファルトルーフィング類製造所の指定する製品とします。
(3) 押え金物
材質及び形状寸法は、特記によります。
特記がなければ、アルミニウム製 L-30×15×2.0(mm)程度とします。
(4) 成形キャント材
入隅に使用し、アスファルトルーフィング類製造所の指定する製品とします。
(5)他に専用の断熱材、伸縮目自在等を使用することがあります。
それでは、施工手順です。
(a) 防水層の下地
(1) 平場のコンクリート下地は、基本的に、直均し仕上げとします。
(2) 立上りは,コンクリート打放し仕上げとします。
(3) 入隅は,半径50mm程度の丸面又は45度に仕上げます。
出隅は、45度に仕上げます。
入隅に成形キャント材を使用することも出来ます。
コンクリートの乾燥状態の確認が必要です。
(b) アスファルトプライマー塗り
コンクリート下地等の場合は,次によります。
(1) 下地が十分乾燥したのちに清掃を行い、塗布します。
(2) 塗付けは、ルーフィング等の張りじまい部まで、均一に行い、乾燥させます。
(3) 塗付けは、下地以外の箇所を汚染しないように行ないます。
(c) アスファルトの溶融
アスファルトの溶融がまは、次によります。
(1) 設置位置は、できるだけ施工箇所の近くとします。
(2) コンクリートスラブの上に設置する場合は、熱による悪影響のない構造形態の溶融がまとします。
(3) 完成した防水層の上に設置してはなりません。
(4) アスファルトは,局部加熱が生じないよう小塊にして溶融します。
(5) アスファルトの溶融温度の上限は、アスファルト製造所の指定する温度とし、同一アスファルトの溶融を3時間以上続けない。
また、溶融中に異状な色合を生じたものは、使用しない。
(6) 溶融したアスファルトは、施工に適した温度を保つように管理する必要があります。
(7) 屋根保護防水断熱工法の断熱材等の張付け用アスファルトの温度は、断熱材に支障のないものとします。
この後、いよいよアスファルトルーフィング類の張付けに入ります。
以降、後日、記事に致します。
今回は、ピット部分等に塗布する防水材を紹介します。
無機質とは一般的に経年変化を起こさない半永久的に形の変わらない物質(ガラス・水晶・石など)を指します。
浸透性防水とは、コンクリート表面に塗布すると内部に浸透して、表面付近に防水層をつくる材料のことをあらわしています。
無機質浸透性塗膜防水は、コンクリート駆体に直接塗布する防水工法です。
深達効果により、コンクリートのアルカリ反応や鉄材腐食の防止に効果があり、駆体そのものに防水性を与えるため、高水圧にも耐えられます。
また、施工時に溶剤などを使用しないため作業環境が良く、作業性の良さから工期の短縮を図ることも可能です。
材料により、幅が0.2mm程度以下の微細なひび割れの補修にも使うことが可能です。
用途としては、コンクリート躯体の、防水工事に使用され、施工適合箇所は、地下内外壁、地下ピット、エレベーターピット、受水槽、防火水槽、雨水槽などに、用いられます。
施工手順です。
1.下地処理
コンクリート面等の、欠損、亀裂、ジャンカ、漏水等がある場合、予め処理を行ないます。
2.下地清掃
施工面の汚れやレイタンス等をサンダーで除去し、水洗いを行ないます。
3.下地の吸水調整
下地が乾燥状態の場合、十分な水打ちを行ないます。
4.材料調合
それぞれの材料規定配合で調合し、ハンドミキサー等を使用しよく撹拌します。
5.塗り付け
規定配合で調合した材料をコテ・ハケ・吹付け等で規定回数、塗布します。
6.養生
上塗り終了後、最低でも3日間の養生を行ないます。
但し、現場状況により養生時間の変更が必要な場合があります。
現在、非常に多種多様な防水材料が販売されていますが、塗布する用途、場所および、材料の特徴、耐久性、透水性、強度等を、綿密に考慮し施工することが大切だと考えます。
下記写真は、某メーカー無機質浸透性防水材料と、その施工状況です↓

ケミストップCM-R (浸透性防水剤) 16L
建物の防水工事に使用する材料にはいくつかあり、それらを使用した工法が確立しています。
主だったものを、大きく分けると、アスファルト防水、シート防水、塗膜防水です。
それぞれ,過去の記事(10.防水工事)にも書いていますが、今回は、今後いろいろな種類が期待できる工法である塗膜防水工法を記述します。
塗膜防水工法には、ウレタンを原料にしたもの、FRPを素材にしたものなどがあります。
現在は,工法、価格面も含め、ウレタン防水の需要が多いです。
ウレタン防水(ウレタン塗膜防水工法)は、塗料状のウレタンゴムを屋上やベランダなどに刷毛、金ゴテ、ゴムべら、吹付機械などで塗って防水層を形成する工法です。
基本的に主剤と硬化剤の2つの成分を混合して施工します。
施工すると2つの成分が化学的に反応して硬化し、シームレスな防水層になります。
塗膜防水(ウレタン防水)の施工手順です。(密着工法)
工法の種別に関係なく、施工時の気象条件は、防水層の良否に大きく左右されるので,充分注意する必要があります。
以下の場合は施工を中止しなければなりません。
1.気温が著しく低い場合
2.降雨雪等の恐れがある場合
3.降雨雪等の後で,下地が充分乾燥していない場合
4.強風の場合
最初に、施工に関して、防水層の下地状態が非常に大切です。
施工の出来は全て、この下地の状態に左右されると言っても過言ではありません。
下地コンクリート面は,平滑で凸凹が無いようにし、又,鉄筋・番線等の突起物、粗骨材、モルタルのこぼれ等は防水層を破壊する原因となるので完全に除去しなければなりません。
クラック等も適正な処置が必要です。
又、出隅入隅、ドレーン周りは、補強塗が必要です。
次にプライマー塗布です。
施工に先立ち,下地の乾燥を入念に行います。(一般的に高周波水分計による水分測定など)
下地の含水率が高いと,水蒸気によりふくれが生じます。
プライマーを種類に応じて,ローラー、刷毛、毛刷毛等を用いて均一に塗布します。
通気緩衝シートを転圧しながら張付けます。
防水材を塗り付けます。
2成分系防水材は,製造所の指定する配合により,可使時間に見合った量を,撹拌器を用いて充分練り混ぜます。
塗り付けタイプの防水材は,ゴムベラ又は金ゴテで均一に塗り付けます。
最後に、仕上げ塗料を練り混ぜ、ローラ刷毛、毛刷毛、吹付け機等を用いて、均一に塗布し、完成です。
塗膜防水と他の防水工法の一番の違いは、アスファルト防水工法のように高温を必要とせず、強烈な臭いもないこと、またシート防水と異なり継ぎ目のない防水層に仕上げることができるということです。
つまり、複雑な形状の屋根やベランダでも施工しやすいという利点があります。
ただ、この塗膜防水も、あくまでも、人によって塗って仕上げられるため、施工精度・防水層の厚みなどの確保が大切です。
一般的に、ベランダ等に使用されることの多い「ウレタン防水」の場合、m2/3,500円前後(普及品目安)、防水保証期間1〜2年程度が多いです。
下記写真は、某マンションベランダにおける、ウレタン防水の下塗り状況です↓
建物の屋根部分は、非常に大切な箇所です。
顧客苦情の多い場所の一つでもあります。
特に、S造等の場合は、充分な注意が必要です。
RC造の場合は、一般的にコンクリート面にアスファルト防水等をほどこし、屋根としての防水対策を施します。
S造の場合は、母屋を流し、屋根材を葺く工法と、デッキを敷き、コンクリートを打ち、その上に防水を施す工法、今回紹介するデッキの上に断熱材を直接敷き、シート防水を施す工法などがあります。
建築物で防水を必要とする部位は、屋根、ひさし、ベランダ、外壁及び室内の水廻りです。
これらの部位へは防水層が必要となり、この防水層を形成するために行う工事が防水工事の定義です。
今回紹介する工法は、「サンタックIB工法」です。
某店舗の現場にて使用しました。
概略としては、鉄骨造の梁上にデッキを敷き、断熱材を張り、シート防水を行う工法です。
特徴を列記します。
1.シート材と機械固定方法・接着工法の組み合わせによる防水システムです。
2. シートは、ポリメタリック可塑剤塩化ビニル樹脂系防水シートです。
3.書面による防水保証は、保証年限を10年以内としています。(30年相当の耐候性データ)
4.ゴムシート防水や塗膜防水層と比較して、機械的強度が大きく、カラスなどのくちばしのツイバミにも強く、耐久性にも優れています。
5.自己消火性があり、ゴムシート防水層と比較して外部からの飛び火に対して、難燃性に優れています。
6.下地の水分をシート表面から徐々に排出し、脱気塔設置の必要がなく、フクレのない防水層を形成できます。
7.既設防水を残したまま改修でき、産業廃棄物発生の少ない防水システムです。
8.機械的強度が大きく、耐磨耗性に優れているため、歩行も可能です。
9. 耐油性・耐薬品性に優れています。
メンテナンスの注意事項として、建物周辺の環境要因により、防水シートに土埃による汚れが発生する事がありますので、定期的な清掃が必要です。
施工完了後、万一キズが付いた場合にも、熱風機及び溶剤溶着により、シート補修が可能です。
下地に使用するイソシアヌレートボードは耐吸水性能が高く、自己消火性のある難燃性断熱材です。
断熱材厚さについては建築物の用途及び建築地域により変ります。
関東以西は25〜35mm、北海道・東北地区は35〜50mmが一般的な目安です。
また、デッキの厚さも、積雪荷重等により、変わってきます。
屋上の防水は、信頼性の確かな工法及び、性能、種別等の充分な検討を行い、選択することが、重要であると考えます。
下記写真は、施工中と納まり施工図です↓

金属防水屋根の技術と性能
参考資料→「シート防水のサンタック」
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