「スタッド」とは鉄骨とコンクリートを一体化するため、鉄骨の母材に溶接で取り付けるボルトなどの鋼棒の呼び名です。
この溶接作業工程を「スタッド溶接」と称します。
鉄とコンクリートを、効率よく経済的に一体化するために、スタッドは用いられます。
鉄骨造において、梁の上に取付けて、デッキの上に打設するコンクリートとの一体化を増大させたり、鉄骨柱に、根巻きコンクリート(鉄骨の柱脚部をコンクリートで固めること)を打設する際に、同じように一体化させるようなときに、使用します。
さて、実際の施工方法です。
スタッドと呼ばれるピン(ネジなど)を、専用ガンに取り付けて、母材に押し当てて、スイッチを入れます。
専用ガンと専用溶接機によって短時間で自動的に溶接が行われます。
軸径19ミリで約1秒間程度です。
スタッド溶接は、溶接棒や溶接ワイヤーを用いず、スタッドそのものが溶接材となります。
よって、スタッドの化学成分はもちろん、太い断面積に安定したアークを発生する溶接装置などが、溶接品質を保つ重要な要素になります。
もう少し、詳しく述べますと、建築の鉄骨工事で主として使用されるのは、アークスタッド溶接です。
アークスタッド溶接は、アークシールドと呼ぶセラミックスの保護筒内で母材とスタッド間にアークを発生させ、その発熱により母材及びスタッドを溶融し、一定時間後、スタッドを母材面上に形成された溶融池に圧入して接合する溶接法です。
以下、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「建築工事監理指針」より抜粋です↓
7.7.2 スタッド溶接作業における技能資格者
(a) スタッド溶接作業を行う技能資格者は,JASS 6 付則4[スタッド溶接工技術検定試験]により,工事に相応した技量を有する者とする。
(b) 溶接技能資格者の技量に疑いを生じた場合は,工事に相応した試験を行い,その適否を判定し,監督職員の承諾を受ける。
7.7.3 スタッドの仕上り精度
(a) 仕上り高さは,指定された寸法の±2mm以内,傾きは5°以内とする。
(b) 母材及びスタッド材軸部に発生したアンダーカットは,0.5mm以内とする。
7.7.4 スタッド溶接施工
(a) スタッド溶接は,アークスタッド溶接の直接溶接とし,原則として,下向き姿勢とする。
(b) スタッド溶接用電源は,原則として,専用電源とする。
(c) 施工に先立ち溶接条件を適切に設定する。
溶接条件の設定は,スタッドの径が異なるごとに午前と午後それぞれ作業開始前2本以上の試験スタッド溶接を行い定める。
(d) 磁気吹きの影響を受けるおそれがある場合は,その防止に必要な措置を講ずる。
(e) 溶接面に,水分,著しい錆,塗料,亜鉛めっき等溶接作業及び溶接結果に障害となるものがある場合は,スタッド軸径の2倍以上をグラインダー等により丁寧に除去し,清掃を行う。
(f) デッキプレートを貫通させてスタッド溶接を行う場合は,事前に引張試験,曲げ試験,マクロ試験等を行って溶接部の健全性が確保できる施工条件を定める。
7.7.5 スタッド溶接後の試験
(a) スタッド溶接完了後,次により試験を行う。
(1) 外観試験
(ⅰ) 母材及び材軸部のアンダーカットの有無を,全数について確認する。
(ⅱ) 仕上り高さ及び傾きの試験は,次による。
① 試験は抜取りとし,スタッドの種類及びスタッド溶接される部材が異なるごと
に,かつ,100 本ごと及びその端数について試験ロットを構成し,1ロットにつき1本以上抜き取る。
② 仕上り高さ及び傾きは,測定器具を用いて計測する。
③ 試験したスタッドが合格の場合,そのロットを合格とする。
④ 試験したスタッドが不合格の場合は,同一ロットから更に2本のスタッドを試
験し,2本とも合格した場合は,そのロットを合格とする。それ以外の場合は,
ロット全数について試験する。
(2) 打撃曲げ試験
(ⅰ) 抜取りは,(1)(ⅱ)①による。
(ⅱ) 打撃により角度15°まで曲げたのち,溶接部に割れその他の欠陥が生じない場合は,そのロットを合格とする。
(ⅲ) 試験したスタッドが不合格の場合は,(1)(ⅱ)④による。
(b) (a)の試験結果の記録を監督職員に提出し,不合格となったスタッドは,7.7.6による補修を行う。
7.7.6 不合格スタッド溶接の補修
(a) 母材又はスタッド材軸部に深さ0.5mmを超えるアンダーカットの発生したものは,隣接部に打増しを行う。
なお,母材にアンダーカットを生じたスタッド材の処置は,(c)による。
(b) 仕上り寸法が不合格となったスタッド材及び打撃曲げ試験で割れ又は折損の生じたスタッド材は,隣接部に打増しを行う。
(c) (a)及び(b)の不合格スタッド材で欠陥が母材に及んでいる場合は,スタッド材を除去したのち,予熱して補修溶接を行い,グラインダーで母材表面を平滑に仕上げる。
(d) (a)及び(b)で,隣接部に打増しができない場合は,(c)により不合格スタッドを除去したのちに打直しを行う。
(e) 打撃曲げ試験により,15°まで曲げたスタッドは,欠陥のない場合そのまま使用する。
(f) (a)から(d)により補修を行ったスタッドは,全数について7.7.5(a)(1)に準じて試験を行い,その結果の記録を監督職員に提出し,承諾を受ける。
施工に際しては、上記のような細かな規定と、材料メーカーによる指針等もありますので、十分な施工計画のもとに品質管理をすることが大切です。
某鉄骨造倉庫で使用した、実際のスタッドピンと、スタッド溶接用アークシールドですの写真です↓
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引き続き、専用ガンによる溶接施工状況写真と、完了写真です↓
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鉄骨工事技術指針(工事現場施工編)第6版
今まで紹介してきた、鉄骨工事の記事は全て、工事現場内の状況でしたが、今回は工場における製作に関して記述致します。
建築物に使用される鉄骨は、工場にて加工されます。
鉄骨工場製作の、流れとしては、下記によります。
1.設計図書の確認、製作工程表の作成、管理技術者の資格確認などの準備
2.平行して、材料、ロール材などの発注→鋼材入荷→受入検査
3.施工計画書作成、承認
4.工作図の作成→承認
(a) 現寸図(型板及び定規を含む)は、必要に応じて、作成します。
(b) 高力ボルト及び普通ボルトの縁端距離、ボルト間隔、ゲージ等は、特記によります。
5.原寸検査
(a) 定規、型板の確認
(b) 鋼製巻き尺の照合
(c) 納まり等問題点の解決
6.工場加工、矯正、けがき、切断、孔開け、曲げ加工、摩擦面の処理、仮溶接、本溶接
(a) けがき
(1) けがきは、工作図、現寸図、型板、定規等により正確に行ないます。
(2) 引張強さ490N/mm2以上の高張力鋼、曲げ加工する外側等の箇所は、たがね、ポンチ等により傷をつけてはいけません。
ただし、溶接により溶融する箇所又は切断、切削及び孔あけにより除去される箇所については、この限りではありません。
(b) 切断及び曲げ加工
(1) 鋼材の切断面は、指定されたものを除き、材軸に垂直とします。
(2) ガス切断による場合は、原則として、自動ガス切断とします。
やむを得ず手動ガス切断とする場合は、形状及び寸法が正しくなるようグラインダー等で整形します。
(3) 厚さ13mm以下の鋼板は、せん断による切断とすることができます。
ただし、主要部材の自由端及び溶接接合部には、せん断縁を用いてはいけません。
(4) 切断面に有害な凹凸、まくれ、切欠き、スラグの付着等が生じた場合は、修正するか又は取り除きます。
(5) 曲げ加工は鋼材の機械的性質等を損なわない方法により行ないます。
7.工場内検査
(a) 形状、寸法等の工場自主検査
(b) 溶接等の自主検査
8. 製品検査
(a) 溶接試験
(b) 形状、寸法等の検査
9.下地調整、工場錆び止め塗装
10.工場最終確認→輸送
以上、ざっと書きましたが、これだけで本1冊になり、まだまだ奥が深いです。
次回以降、それぞれの項目を掘り下げてゆきたいと考えています。
下記写真は、某鉄骨造現場にて製品検査時に見学した、工場内のロボットです。
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鉄骨工事現場施工計画書の作成マニュアル
鉄骨建て方時の、ボルト接合状況です。
高力ボルト接合には、摩擦、引張り、支圧接合の3種類の方法があります。
現在最も普及している方法は摩擦接合です。
高力ボルトの種類は、トルシア形とJIS形に分けられます。
トルシア形は、ボルトの締め付けにより、ボルト頭のチップ部分等が破断する事によりボルトの締付けが確認できます。
このボルトは、日本鋼構造協会の規定により製造されています。
ボルトの取り扱いは、包装のまま施工場所まで運搬し、施工直前に包装を解きます。
包装を解いて使用しなかったボルトセット(ボルト、ナット、座金)は、再び包装して保管をします。
締付けとしては、本接合に先立ち、仮ボルトで締付けを行い、板の密着をはかります。
その後、ボルトの長さ、材質、呼び径等が施工箇所に適したものである事を確認します。
ボルトを取付け、一次締め、マーキング及び本締めの順にて施工します。
1群のボルトの締付けは、群の中央部より周辺に向かう順序で行います。
本締めは、標準ボルト張力が得られるよう、下記方法により施工します。
トルシア形は専用レンチを用いてピンテールが破断するまで締め付けます。
JIS形は、トルクコントロール法又はナット回転法で締め付けます。
締付けの確認は、トルシア形の場合、完了後に、一次締めの際につけたマーキングのずれ、ピンテールの破断等により全数本締めの完了した事、とも回り及び軸回りの有無、ナット回転量並びにナット面から出たボルトの余長を確認します。
JIS形においても、マーキングのずれ、とも回りの有無、ナット回転量及びボルトの余長を確認します。
作業環境としては、温度が0°C以下になり着氷の恐れがある場合には、原則として締め付け作業は中止とします。
下の写真は、鉄骨造建築物にて、高力ボルトを専用工具にて締め付けている施工状況です↓
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鉄骨平屋建某店舗の、鉄骨建方状況です。
建方の際には、効率の良い建て方順序を選定する事が大切です。
また、建方途中では構造が不安定であるため、事故の起こす事の無いように十分な検討が必要です。
建て方計画書には、下記事項が記載されます。
1.工程表(準備開始時期、各節ごとの組立て及び接合時期、完了時期)
2.施工管理体制
3.組立て順序(図面表示が望ましい)
4.吊り足場等の安全施設、仮設材や二次部材等で地組するものの有無(図面表示が望ましい)
5.主な部材の質量表(平面図等に記入)
6.建て方用機械の種類、性能(吊り上げ能力、作業範囲、設置位置及び保安上の注意事項)
7.建て方途中の建入れ測定方法及びその修正方法
8.建て方完了時の建入れ測定方法及びその修正方法
9.部材集積場所及び集積方法
10.建入れ検査の合否の基準
11.建方中の強風に対する補強の方法及び仮ボルトの本数等
12.接合作業の手順及び検査方法
13.安全管理及び養生の方法
建て方機械の選定は、非常に大切な事項です。
特に、機種、台数、最大荷重、作業半径、作業能率等は、事前に充分な検討が必要です。
また、建て方機械を設置する構造体、架台、路盤、構台等が、自重、風圧力、地震力、衝撃力等に対して安全である事を確認しなければなりません。
高所作業になる事が多く、安全設備の確固たる準備が大切です。
某現場における鉄骨建て方状況↓
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鉄骨工事技術指針(工事現場施工編)第6版
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