山留工事は、過去に2回ほど、紹介しています。
2回目は、山留工法の一種である「親杭横矢板工法」の記事でした。
今回は、この工法の作業手順を、工事写真とともに紹介いたします。
「親杭横矢板工法」とは、親杭にH形鋼、レール等を 80~180cm程度の間隔に打設し、掘削に伴い横矢板を入れて山留め壁にする工法です。
止水性はありませんが、比較的硬い地盤でも施工可能であり、他の工法に比べて経済的に有利です。
他に特徴として、下記があります↓
・施工が容易で工費が比較的安い。
・地中にある小規模な埋設物は、親杭間隔を変更することによって対処可能。
・親杭は繰り返し使用可能。
・相互の親杭間に、木製の横矢板をはめ込むため、遮水性に劣る。
・多少の地下水位に対しては、水替等により安全性に問題がなければ対応可能である。
それでは、作業手順です。
1.最初に、親杭(H鋼)を打設します。
2.H鋼を打設するために、オーガーで穴を掘ります。
3.オーガー掘削した後、H鋼を埋めていきます。
4.掘削したところから、H鋼の間に矢板を入れ、土留めをしていきます。
矢板挿入の施工ポイントです。
- 矢板を入れる所の長さを測る。
- 矢板の切断をする。(通常、木材業者にて長さを加工して搬入)
- 矢板を必要量、配置する。
- 裏の土を矢板が入る程度とる。
- 矢板入れ(根伐底より矢板1枚分掘下げる)。
- 裏込めをする。
- キャンバー締めを行う。
- キャンバー押え桟木を取付ける。
- H鋼とH鋼との間隔が設計寸法より大きくなれば、矢板の問にバタ角を入れる。
- 埋設物周りの矢板の補強をする。
- 横矢板は、親ぐい(H鋼)のフランジに十分かかる長さのものを用いる(3㎝以上)。
作業および山留めを安全に確保するために、下記事項に留意します。
・作業床の確保。
・機械掘削と併行して作業を行う場合には、作業分担区域をきめ、機械の稼動範囲内に作業者が立ち入らないようにする。
・1回の掘削深さは矢板をH鋼にはめ込むことができる程度(すでに入れた矢板の下端から50㎝程度)までとする。
・矢板は、親杭へのかかりしろを25m/m~30m/m以上とする。
・矢板をさし込んだら、裏面に一枚ごと土(砂まじりの粘土)を入れて充分に締め固める。
・パッキングを1/3打込んでも、がたがあるときは、裏込め矢板を用いて裏から締める。
・矢板を深さ1.5m程度まで建込んだら矢板押え用の「ぬき」(巾5㎝、厚さ1.5㎝程度)を矢板両端にくぎ止めをする。
・間隔が開いている場合に矢板三枚に一本、二枚に一本というように補強用のバタ角を入れる。
・必要以上に間隔のある場合は、チャンネル等をH鋼に溶接し、それとバタ角にくさびを入れてとめる。
・埋設物周りは、間隙が生じないように完全に矢板などでふさぐ。
・埋設物周りが漏水しているときは、土を詰めた麻袋等をつめ込んで土砂の流出をふせぐ。
・余掘をしない。
・矢板面をハンマーでたたき空隙の有無をチェックする(中間山留チェック時にも行う)。
・裏込め土は充分押入れ地山と矢板のすき間のないようにする。
・矢板入れ後、キャンバーで締める(地山が移動始めるとキャンバーが落ちる)。
・矢板面より水が出る時は土砂の流出防止の処置をする。
・掘削が進んだ所まで必ず矢板を完成させる。
ここまで行い、片付け、整理整頓を確認し、作業終了です。
親杭横矢板工法は、メジャーな山留め工法です。
施工管理をしっかり行い、安全な土留めを構築することが大切だと考えます。
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今回は、建築工事現場における、埋戻し(うめもどし)状況を、ビデオにて紹介します。
以前、土工事「埋戻転圧状況」という記事(2007年1月8日)にて、埋め戻し手順などを、紹介しました。
埋戻しとは、建築物の基礎及び地下工事が終わった後の空隙部分に、土砂を埋め戻して現状に戻すことを指します。
使用する土(埋め戻し土)は、根切り(掘削)土、または購入土などを、使用します。
さて、紹介するビデオは、某建築工事現場の埋め戻し状況です。
「You Tube」に、アップしました。
早速ご覧ください↓(表示されない場合は、再読込して下さい)
今回のビデオでの埋戻しは、ホイル式バックホウを使用しています。
この機械は、地盤のよいところで機動的に利用され、道路沿いの付帯工事などでよく使われます。
なんといっても、道路を自走できるところが、長所ですね。
また、バックホウが入って行けない箇所は、レッカーにモッコを使い、埋戻しをしています。
表面の転圧には、ランマ―プレートを使用しました。
転圧手順は、過去記事土工事「埋戻転圧状況」を御覧ください。
埋め戻し作業において、
掘り起こした土は、堅さや粒度が埋め戻しに適さない場合も多く、そのような場合は、搬送して再生または処分します。
また、敷地内に掘削土を仮置きする場所が確保できない場合も、場外搬出となります。
他に、その場で土質を改良(土壌改良)して、埋設用に適した土として再利用することもあります。
もちろん掘削規模に応じ、十分な締固め(転圧)が必要となります。
これらの作業手順を含め、土質などを検討し、適切な計画のもとに、施工することが大切です。
建築工事標準仕様書・同解説 JASS 3・土工事および山留め工事、JASS 4・杭・地業および基礎工事
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建物を建てる際に、必ず必要になる工種が土工事です。
基礎を築造するためには、地面を掘削し、支持地盤面に建物を築造するわけです。
今まで2度ばかり、土工事に関して記事(土工事、土工事その2)にしましたが、今回は一歩踏み込んだ基本を述べてゆきます。
土工事の範囲は、掘って(掘削、根切り、根伐、根堀)、埋めて(埋戻し)、余った土を捨てる(残土処分)に分かれます。
最初に、「根切り」における品質管理事項です。
(1) 根切りは、所定の形状及び寸法を有すること。(施工図等に基づき施工する)
(2) 床付け面は、上部の構造物に対して有害な影響を与えないように、平たんで整ったものであること。
(3) 周辺の状況、土質、地下水の状態等に適した工法とし、関係法令等に従い、適切な法面とするか又は山留めを設ける。
(4) 根切り箇所に近接して、崩壊又は破損のおそれのある建築物、埋設物等がある場合は、損傷を及ぼさないよう処置する。 (特に隣家等は気の使うところです)
(5) 根切り底は、地盤をかく乱しないように掘削する。
なお、地盤をかく乱した場合は、自然地盤と同等以上の強度となるように適切な処置
を定め,監督職員の承諾を受ける。
(6) 寒冷期の施工においては、根切り底の凍結等が起こらないようにする。(シート養生等)
(7) 根切り底の状態、土質及び深さを確認し、監督職員の検査を受ける。
なお、支持地盤が設計図書と異なる場合は、監督職員と協議する。
次に「埋戻し」です。
(1) 埋戻しに先立ち、埋戻し部分にある型枠等を取り除く。
(2) 埋戻し及び盛土は、所定の材料を用い、所要の状態に締め固められており、所要の仕上り状態であること。
所定の材料とは、掘削した土で埋めるのか、購入した土で埋めるのか、どこかにある土を持ってくるのか等を指します。
(道内では、購入土は火山灰が多いです)
(3) 埋戻し及び盛土の材料及び工法は下表により、種別は特記による。
なお、埋戻し及び盛土は、各層300mm程度ごとに締め固める。
A 種 山砂の類 水締め,機器による締固め
B 種 根切り土の中の良質土 機器による締固め
C 種 他現場の建設発生土の中の良質土 機器による締固め
D 種 再生コンクリート砂 水締め,機器による締固め
(4) 埋戻し及び盛土の種別がB種又はC種で、土質が埋戻し及び盛土に適さない場合は、監督職員と協議する。
(5) 余盛りは、土質に応じて行う。
埋戻しに関しては、以前も記事(埋戻転圧状況)にしていますので、読み返してみてください。
最後に「残土処理」ですが、建設発生土の処理は、設計図書特記によります。
特記がなければ、構外に搬出し、関係法令等に従い、適切に処理しなければなりません。
土工事においては、災害及び公害の防止にも、下記のような注意を払う必要があります。
(a) 工事中は、異常沈下、法面の滑動その他による災害が発生しないよう、災害防止上必要な処置を行う。 (法面養生等、日常の管理が大切です)
(b) 構外における土砂の運搬によるこぼれ及び飛散、排水による泥土の流出等を防止し、必要に応じて清掃及び水洗いを行う。 (公共の道路を汚さないよう処置が必要です)
(c) 掘削機械等の使用に当たっては、騒音・振動その他現場内外への危害等の防止及び周辺環境の維持に努め、必要に応じて適切な処置を講ずる。
(d) 給排水管、ガス管、ケーブル等の埋設が予想される場合は、調査を行う。
なお、給排水管等を掘り当てた場合は、損傷しないように注意し、必要に応じて緊急処置をし、監督職員及び関係者と協議する。
(これは、結構この仕事に従事している方は、経験していると思います。
水道管を切った、ガス管を損傷したという話は数多く、非常に綿密な事前調査が必要です)
(e) 工事に支障となる軽易な障害物は、すべて除去します。
また、予想外に重大な障害物を発見した場合は、監督職員と協議する。
(遺跡、爆弾などで、私も20年前、東京の現場で不発弾を発見した経験があります)
土工事は、建築工事の初期の段階での工種であり、着工時の慌ただしさに振り回されることなく、確実な施工管理が要求されます。
また、最初から目視出来ない部分を施工する難しさもあり、臨機応変な対応が必要となります。
下写真は、某現場における基礎掘削状況です↓
天候に恵まれ、このような作業は気持ちがよいものですね。

建築工事共通仕様書(2009年度版)
前回「2007-03-31」に引き続き、山留工事です。
親杭横矢板工法を、紹介します。
この工法は、山留工法では最も一般的なものです。
鉛直に設置した親杭(レール、H鋼等)に、掘削の進行に伴って横矢板をかませ、山留め壁としながら掘り進む方法です。
止水性はありませんが、比較的硬い地盤でも、多少の玉石層でも、施工は可能です。
打ち込み時の、振動/騒音が問題になる場合がありますが、オーガー等の削孔併用で低減が可能になります。
ヒービング現象(矢板背面の土の重量によって掘削底面内部に滑り破壊が生じ、底面が押し上げられてふくれあがる現象)の起る様な軟弱粘土層には不適です。
今回施工しているのは、親杭が300*300H鋼+木製横矢板厚さ40mmです。
山留めの管理としては、計測管理が一般的です。
目的は、周辺地盤、隣接構造物、地中埋設物の沈下・移動及び土圧・水圧、山留め架構の応力、変形等を測定し、計画上の諸条件と比較検討して、山留めの崩壊、隣接構造物の転倒、地中埋設物の損傷、周辺地盤の障害の危険を事前に把握して、速やかに対処する事です。
計画で最も重要な事は、計測結果に対して、適切な判断をする事であり、あらかじめ限界となる値を定めておき、その値に近づいてきたとき、具体的な措置がとれるよう準備しておく事です。
通常、山留め壁頭部の移動量を、トランシット、下げ振り等により測定します。
いずれにしても、様々な諸条件を充分把握し、安全第一で施工管理する事が大切であると考えます。
下の写真は、掘削しながら、矢板を入れ込んでいる作業状況です↓

掘削と土留め
★★★仮設構造物の設計新刊です(2007年4月発行)
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