鉄筋を組み立てる際の大切な注意事項として、かぶり厚さ確保があります。
コンクリートと鉄筋との付着を確保し、鉄筋の腐食を防ぎ、火災に対して鉄筋を保護するためには、鉄筋をコンクリートで十分に包んでおく必要があります。
一言で言いあらわせば、かぶり厚さ確保の理由は、耐久性の確保です。
コンクリート中に配置される鉄筋の最外面からコンクリート表面までの距離、すなわちかぶり厚さが、施工基準で厳密に規定されています。
少し詳しく説明します。
鉄筋が錆びてしまうと膨張して、コンクリートを破壊します。
コンクリート自体は、非常に強い塩基性(アルカリ性)物質で構成されています。
その為、鉄筋がコンクリートに包まれると、そのアルカリ性により、表面に錆びにくい不動態皮膜が形成され、錆びにくくなります。
しかし、コンクリートは空気に触れる表面部分から、空気中のCO2と反応し、塩基性の基である水酸化カルシウムが、炭酸カルシウムに変化していき、そのアルカリ性を失っていきます。
これが、コンクリートの中性化です。
中性化が進行することにより、鉄筋が錆びて、コンクリートの強度にも影響してゆきます。
下表は、かぶり厚さの仕様書に記載されている基準値です↓
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注)
- ※印のかぶり厚さは、普通コンクリートに適用し、軽量コンクリートの場合は、特記による。
- 「仕上げあり」とは、モルタル塗などの仕上げのあるものとし、鉄筋の耐久性上有効でない仕上げ(仕上げ塗材、吹付または塗装など)のものを除く。
- スラブ、梁、基礎及び擁壁で、直接土に接する部分のかぶり厚さには、捨てコンクリートの厚さを含まない。
- 杭基礎の場合のかぶり厚さは、杭天端からとする。
- 塩害を受ける恐れのある部分など、耐久性上不利な箇所は、特記による。
それでは、材質によるそれぞれの特徴を記載します。
スペーサーの一般的な材質としては、プラスチック製、鋼製、コンクリート製、モルタル製、セラミック製等があリます。
1.プラスチック製
プラスチック製は安価であり、軽くて錆びず丈夫であって使い勝手がよいことから、建築工事では多く使用されています。
しかし、コンクリートとの熱膨張率の相違、付着及び耐荷力不足等の問題があります。
その結果、コンクリートにひび割れが発生し、そこから水等が侵入して鉄筋が錆び、構造物の弱体化を招く恐れがあるため、使用や施工には注意を要しなければなりません。
形状はメーカーによって様々ですが、壁や柱には車輪の形をしたドーナツ型、スラブや梁にはサイコロ型が主に用いられます。
下記写真は、プラスチック製ドーナツ型の材料とその使用例です↓
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中央写真は、基礎地中梁に使用している例です。
右側は、断熱材部分に直接スペーサーをあてると、断熱材がへこんでしまうので、鉄板をあてて施工している状況です。
続いて、鋼製型です。
鋼製は、プラスチック製より重量はあるものの安価で使い勝手がよく、加工の容易さからバー型を始めとして様々な形状のものが製作されています。
土木工事、建築工事問わず使用されています。
鋼製を使用する場合は、本体の鉄筋と同等以上の品質を有するものを使用する必要があります。
通常、型枠と接する部分には防錆処理が行われます。
ただしこの場合、スペーサーがコンクリート表面に露出することとなるため、この部分から錆び始め、徐々に内部の鉄筋まで腐食し、鉄筋コンクリート構造物の強度を低下させる恐れがあります。
また、表面の錆は外観上の問題も発生します。
土壌や水の塩分濃度が高い場所、温泉地域などでは腐食する恐れがあるので、使用には充分な注意を要します。
下記写真は、スラブ筋に使用するための、鋼製スペーサーです。
本体は、鋼製ですが、脚の部分が錆防止のために、プラスチック製となっています。
材料と、使用方法の写真です↓
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もうひとつ、コンクリート製・モルタル製です。
コンクリート製、モルタル製は耐久性があり、生コンクリートとの親和性が高いことから、トンネルや地下構造物、海洋構造物などの土木工事で多く用いられています。
また建築工事でも基礎などで使用されています。
基礎、スラブ、梁などではサイコロ型やブロック型、壁や柱では馬蹄型、ロケット型、ドーナツ型などがあります。
モルタル製、コンクリート製を使用する場合は、本体コンクリートと同等以上の品質を有するものを使用する必要があります。
型枠と接する部分では、モルタル製あるいはコンクリート製を用いることが原則とされています。
コンクリート製、モルタル製は、プラスチック製、鋼製と比べて鉄筋へ固定する方法が難しいです。
そのため、フック、グリップ、キャッチャー、結束線などが材料についているものを使用して固定していますが、固定力はプラスチック製などと比べて劣ることがあります。
また、コンクリート製、モルタル製は重いため、使い勝手はプラスチック製などよりは劣ります。
基礎などで用いられる四角いサイコロ型のスペーサーは、その形から「キャラメル」と呼ばれています。
最後に、ステンレス製です。
ステンレス製は、強度はコンクリート製、モルタル製と同等であり、使い勝手はそれよりも良いものが多いです。しかし、鉄筋との異種金属間の接触腐食については、不明確な点もあり、使用頻度は他のものと比べて低いようです。
以上、紹介したように、いろいろな種類・材質・形状の材料がありますが、
使用する場所によって、適正なスペーサーを選択することが、必要となってきます。
05 世界で一番やさしいRC・S造 監理編 (エクスナレッジムック 世界で一番やさしい建築シリーズ 5)
参考入り数:150 ☆ 1個価格上下筋スペーサー PL付 H 30 X 100
ワイヤメッシュ(溶接金網)を、紹介します。
建築物構築において、ワイヤメッシュは主に、コンクリートのひび割れ防止等に使用されます。
構造体としては、鉄骨造デッキプレートのスラブ等に敷込み、使用することもあります。
材質は、鉄とステンレスの2種類があり、大きさの一般的な種類は、6*100*100、6*150*150、3*100*100(それぞれ、太さ*升目の大きさ)などがあります。
製品1枚の標準規格寸法は、網幅1m×網長さ2mおよび網幅2m×網長さ4mです。
上記以外の寸法については注文生産となるようです。
製作方法は、縦線と横線を直角に配列させ、交わった点を電気抵抗溶接して製造します。
線径2.0mm以下の溶接金網は、ファインメッシュ金網となります。
敷き込む際の、溶接金網の重ね継手については、日本建築学会「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説」によると、下記の規定があります。
1)応力を伝達する溶接金網の重ね継手は、外縁の横線間隔距離を一目+50mmかつ150mm以上とする。
2)ひび割れ防止用など、構造耐力を要しない場合の継手では、最外縁の横線間隔距離を横線間隔
(1目)かつ100mm以上とする。
溶接金網(JISG3532鉄線を使用したCDメッシュ・ワイヤーメッシュ)は工場で一貫した品質管理のもとで規格管理されるため、製品の安定化と配筋精度が確保されるという特徴を持っています。
また、工期の短縮・コストの低減を図れます。(現場にて鉄筋加工組立に比較すると)
コンクリートの打設時には配筋の乱れが少なく、コンクリート硬化後のひび割れ防止には非常に効果的です。
かぶり厚さの規定は、鉄筋に倣います。
標準網目寸法は、50,75,100,150,200,250,300mmで、寸法許容差は、網目寸法に対して±10mm又は±7.5%のうちいずれかの値とします。
北海道では、ロードヒーティングの保護コンクリートのひび割れ防止等に使用することもあります。
下記写真は、某鉄骨造店舗新築現場において、デッキスラブの上に敷いている状態を、スタッフを用いて写している状況です。
柱の鉄筋組立て状況を紹介します。
RC造の柱部分に、組立てる鉄筋は、主筋と帯筋(Hoop)に、分けられます。
主筋を立て、帯筋を巻きます。
施工管理しなければならない項目として、下記があげられます。
1.主筋の本数、太さ
2.帯筋の太さ、ピッチ
3.かぶり厚さ
4.継ぎ手、定着長さ、位置
5.隣り合う鉄筋の離れ寸法
6.梁との仕口における、帯筋の適正配置
7.柱頭部フック形状
8.柱上下断面寸法違いによる折曲加工
などなど
最近は、鉄筋量も増えてきていますので、とくに「5.隣り合う鉄筋の離れ寸法」には、注意を払う必要があります。
鉄筋相互のあきは、下記の値のうち最大のものとします。
1.コンクリート粗骨材の最大寸法の1.25倍
2.25mm
3.隣り合う鉄筋の平均径の1.5倍
「8.柱上下断面寸法違いによる折曲加工」も大切な部分です。
一般的に「柱をしぼる」と言いますが、柱筋の位置の確保に、注意を払わなければなりません。
下記写真は、一般的なマンションの柱に、帯筋を巻いている作業状況です。
スラブ配筋状況です。
梁配筋が完了するとスラブ配筋に入ります。
通常、コンクリート打設前の最後の作業です。
この作業体勢は、腰に悪いですよね。
ここで言うところの、「スラブ」とは、床や屋根、ひさしの部分をさします。
スラブの配筋は、主筋(短辺の方向の鉄筋)と配力筋(長辺の方向の鉄筋)で構成され、開口部等で補強の鉄筋が入る部分もあります。
下端主筋、下端配力筋、上端配力筋、上端主筋の順番で配筋を行います。
四方が梁で囲まれていないスラブ、大梁から張り出しているような1方向だけで受けているスラブのことを、片持ち(キャンテ)スラブと呼びます。
片持ちスラブ配筋は、スラブの根元部分の、上側の鉄筋がポイントになります。
スラブ配筋は、スラブ内法の長さに梁やスラブに入り込む定着長さを足した長さにて加工します。
定着長さの梁幅がない場合は、アンカーとします。
また、継ぐ場合は、隣り合う継ぎ手と、0.5l(l=継手長さ)以上、離さなければなりません。
最小かぶり厚さは、土に接する部分は、40mm、接しない部分で仕上げありで、20mm、仕上げなしで、30mmです。
「仕上げあり」とは、モルタル塗り等の仕上げのあるものとし、鉄筋の耐久性上有効でない仕上げ(仕上げ塗り材、吹付け又は塗装等)のものを除きます。
スラブ配筋組立後は、鉄筋の乱れを少なくするために、歩み板等を敷き渡し、直接鉄筋の上を歩かないようにする配慮が必要です。
スラブスペーサーの標準個数は、上下筋とも、1.2個/m2程度です。
かぶりの確保、及び鉄筋の乱れには、非常に気を使います。
下記写真は、1階土間配筋状況です↓
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