素地ごしらえは、塗装対象となる素地面の汚れ及び付着物を取り去り、素地に対する塗料の付着性を確保するとともに、素地面を塗装に適した状態に調整するために塗料に先立って実施する作業です。
どんなに性能が優れた塗料を使用しても、素地ごしらえが不適切であれば塗装直後の仕上がりが良好でないばかりか、早い時期に塗膜剥離や素地の劣化を招くことになります。
したがって、素地ごしらえが塗装仕上げの良否を決定するといっても過言ではなく、塗装工事において特に重要な工程です。
素地ごしらえは、塗装対象である木材、金属、セメント系ボード類等の素地の種類によって大きく異なります。
今回は、スチール製のドアに塗装をする際の下地ごしらえを紹介します。
国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「建築工事共通仕様書」では、鉄面に対する素地ごしらえの種別をA、B、Cの3種類と規定しています。
A種は、化成皮膜処理であり、主として製作工場にて行なわれます。
B種は、ブラスト法を用いて鉄面の錆を落とし、清浄な鋼材表面を得る素地ごしらえで、この上に施される塗膜の耐久性が向上します。
主として、2液形ポリウレタンエナメル塗や常温乾燥形フッ素樹脂エナメル塗等の高性能で耐久性を期待する塗り仕様には、必ず適用します。
C種は、主として、電動工具、手工具等を使用して、不安定な黒皮や赤錆等を除去する一般的な素地ごしらえです。
種別は設計図書の特記により、特記がなければ、C種とします。
下表が素地ごしらえの工程です。
鉄鋼面の素地ごしらえ(下表クリック拡大↓)

建築工事現場においては、C種による工程が一般的です。
下記写真は、左から素地ごしらえの第3段階「錆落し」におけるペーパー掛け(研磨)状況、その後の鉄鋼面合成樹脂調合ペイント塗(SOP)における、パテ処理および中塗り(1回目)状況です。
クリック拡大↓

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内装工事における壁紙(クロス)貼りに関しては今まで何度か記事にしています。
今回はそのクロス貼りの施工手順の中の下地処理のひとつである、シーラー塗布に関して記述します。
ちなみにシーラーとは”覆い隠す”という意味があります。
クルス張りにおいて、素地ごしらえに用いるパテ及び吸込止め(シーラー)は、壁紙専用のものとします。
とくに、湿気の多い場所、外壁内面のせっこうボード直張り下地等の場合は、防かび剤入り接着剤、防かび剤入りシーラーを使用します。
手順として、素地ごしらえ(下地処理)ののち、清掃を行い、シーラーを塗布します。
この目的は次の3つに集約できます。
1.接着性の向上
2.下地のあく等が表面に浮き出るのを防止する。(素地の内部からのアルカリ作用を抑制・緩和する)
3.張り起こし等、貼り作業が容易な下地面をつくる。
4.下地の色違いを修正する。
5.張り替えの際にはがしやすい下地をつくる。
このような理由からも、シーラー塗布は欠かせない作業のひとつであります。
クロスを貼る際における下地処理の一般的注意事項として、下記が挙げられます。
1.下地表面の異物、汚れ、埃などは、接着不良の原因となるので、綺麗に取り除く。
2.マジックインキ、サインペン、赤色チョークなどの油分また濃い色は、壁紙に透けて出てくるので、下地にはこのようなもので書き込みしない。
また、不用意に書き込まれた場合は、完全に消すようにする。
3.コンクリート・左官下地においては、下地調整塗りやモルタル塗りの粉吹き及びアルカリ成分の反応を防ぐため、刷毛・ローラー等を用いて、シーラーを全面にむらなく塗布する。
4.シーラーを稀釈調合する場合は、メーカーの指定する調合を標準として行う。
また、シーラーの材料により、クロス接着剤の相性も考慮する必要があります。
いずれにしても、メーカーの仕様に従い、適切な場所において適切な材料を施す事が大切です。
さらに、現在はシックハウス等の環境問題の面からも、下地材料(もちろんシーラーも)から、充分検討選択しなければなりません。
下記写真は、合成樹脂系シーラー材料と、ローラー使用における塗布状況です↓

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壁仕上げの工法の一つに、吹付タイル塗装があります。
左官工事(壁塗工法)の一つで、陶磁器質調タイルの肌合いを、吹き付け作業によって得る工法です。
仕上がりの表面がセメント系の複層仕上げ材で、外装用に使われることが多いです。
建築工事共通仕様書においては、「15章 左官工事」の「5節 仕上塗材仕上げ」に分類されています。
よって、官庁工事などの見積書内訳は、左官工事に分類されますが、実際、塗装業者が施工することが多く、民間物件では、塗装工事の見積項目に入れることもあります。
通常、吹付工事とは、吹付タイルやリシン、スタッコなどの仕上材をコンプレッサーを使い、壁仕上げの下地面に吹き付けて仕上げる工事の総称です。
工事手順として、コンクリート面やモルタル塗などの下地に、下塗りをして、主材のベースを吹き付け、模様吹きの上塗りをします。
仕上げは、ローラーやコテ、コンプレッサーなどを使って表面にクレーター状の凹凸模様を付けて仕上げます。
主原料は、合成樹脂などの結合材とけい砂、寒水石、軽量骨材などです。
防水性を高め、モルタルなどの湿式工法の下地材のヘアークラックにもある程度追随できる材料(弾性タイル)もあります。
塗装材としての特徴は、下地への密着性、耐久性に優れており、施工がある程度容易で、安定した仕上がりが可能であることが挙げられます。
ただし、吹き手によってはむらが出たりすることがあり、下地が悪ければ当然剥離、クラックなどの問題が出てきます。
もちろん作業環境における温度管理なども大切です。
コンクリートの場合の下地調整の手順は下記です。
(1) 目違いは,サンダー掛け等により取り除く。
(2) 下地面の清掃を行う。
(3) セメント系2種下地調整塗材(C-2)を,1~2mm程度全面に塗り付けて,平滑にする。
ただし,スラブ下等の見上げ面及び厚付け仕上塗材仕上げ等の場合は,省略する。
(4) 下地の不陸調整厚さが1mm 以下の場合は,(3)の下地調整塗材(C-2)に代えて,セメント系1種下地調整塗材(C-1)を平滑に塗り付けることができる。
(5) 下地の不陸調整厚さが3mmを超えて10mm以下の場合は,(3)の下地調整塗材(C-2)に代えて,セメント系下地調整厚塗材2種(CM-2)を平滑に塗り付ける。
下地調整塗材以外の下地調整材には、合成樹脂系シーラー及び合成樹脂パテがあります。
実際に現場において施工する際は、現物見本板を作成し、施工管理をします。
塗装工事は、たくさんの種類の材料があり、たくさんの施工工程があります。
適正な環境で、適正な材料を、適正な工程にて、施工することが大切です。
また、略語がいろいろあり(たとえば、基本的なところでOP,SOP,EP,AEP,WEP,OSCL,CL……)、新しい材料、工法等も出てきています。
下記写真は実際に現場において、吹付けをおこなっている作業状況です↓

早わかり塗料と塗装技術新版
床仕上材の一つ、塗床工法を紹介します。
国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「建築工事共通仕様書」において、内装工事の合成樹脂塗床に分類されています。
塗装工事でもあり、左官工事でもありそうな、微妙な工種ですね。
実際においても、塗装業者にて施工するところもあります。
塗り床材の種類は、有機質系と無機質系の二つに分けられます。
有機質系としては、無溶剤系、溶剤系、水系があり、無機質では、セメント系、石膏系、ポリマーセメント系があります。
それぞれに長所、短所、主用途があります。
今回紹介する「フェロコンハードS」は、無機質セメント系です。
使用用途としては、各種工場・倉庫・駐車場の床仕上げに適しています。
水・油などを使用する食品工場、給食センター、冷凍冷蔵庫などにも適しています。
セメントを主成分に、金属やセラミックの骨材を配合し、緻密で耐久性にすぐれた床面を形成する床仕上げ材です。
擦り減りや、衝撃などに対してコンクリートの4~6倍もの強度を有しています。
無機質ですので、燃えにくく、臭いが少なく、高い強度が特長です。
また、静電気をすばやく吸収し、徐々に拡散・放電するので、静電気スパークによる引火・爆発など危険物や可燃性溶剤を扱う場所にも最適です。
食中毒の原因となる大腸菌や黄色ブドウ球菌などの繁殖を防止するすぐれた抗菌力もあります。
施工方法の、種別としては、コンクリート同時散布工法、コンクリート同時塗り付け工法、硬化コンクリート塗り付け工法があります。
下記施工工程は、既設硬化コンクリート塗り付け工法です。
(1)下地処理
0.5A未満の細かいクラックは下地処理の必要はありません。
大きなクラックや欠損部を、充てん処理します。
床の清掃・洗浄を、ポリッシャーなどで研磨し、汚れ・レイタン
スなどを除去します。
(2)プライマー塗布
ブラシ等ですり込むように2回塗布し
ます。
(3)主材(塗り付け)
材料を配合し、床面に塗り広げます。
金ゴテで平滑に塗布します。
(4)メンテナンスワックス
養生後、トップコート塗布をおこないます。
日常の手入れとしては、床に落ちた、オイル、グリースなどは長時間放置せず、その都度ウエスやペーパータオルで拭きとることが大切です。
また、ゴミ・ホコリの除去として、ダスターモップ、フロアーモップなどで砂やほこりを取り除き、その後、モップで水拭きや水洗いすべきです。
床材の施工は、塗り床に限らずやり直しがきかず、下地処理にとても神経を使います。
下地がすべてといっても過言ではないでしょう。
又の機会に施工管理に関して記述したいと考えています。
下記写真は、施工工程(2)プライマー塗布と、(3)主材塗布状況です。
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