今回は、コンクリート現場試験の一つである塩化物含有量試験の「カンタブ」を紹介します。
塩化物試験に関しては、以前の記事「コンクリートの現場試験」にて、簡単に触れています。
今回紹介する「カンタプ」とは、コンクリート中の練り水に含まれる塩化物量を測定する試験紙のことです。
カンタプは、塩素分析のモール法を基本原理としています。
モール法とは、塩化物イオンの濃度が未知である試料水溶液に、濃度既知の硝酸銀水溶液を滴下して 難溶性の塩化銀の沈澱を形成させ、加えた硝酸銀水溶液の体積から、試料溶液の塩化物イオンの濃度を求める方法です。
このモール法に、ドライケミストリー(DryChemistry)の手法を導入して、精度を損なわずに操作を簡単にしたものが、「カンタブ」(塩分量測定計)です。
ドライケミストリーとは、特定の化学反応を起こす試薬が乾燥状態で用意されていて、そこに液体状の検体が添加されると、検体中の水分を溶媒として、試薬が含まれているマトリックスの中で反応が進行するものです。
カンタプは、塩素イオンが存在すると茶褐色の試薬が白色に変化することを利用しています。
この試験方法には、下記の特徴があります。
◆ 個人差がなく高精度で測定方法も簡単。
◆ 電極の校正等が必要ありません。
◆ セメントの種類に関係なく測定でき、記録の保存も可能。
◆ 持ち運びが容易。
◆ 電池やコード等の必要がなく、どこでも持ち運びができます。
◆ 維持費がかかりません。
カンタブの種類は、低濃度品と標準品があります。
それでは、使用方法です↓
① 試料のフレッシュコンクリートを適当な容器に採取します。
試料は、1ℓ程度で充分ですが、JlS A 1115 (まだ固まらないコンクリートの試料採取方法)等に準じて、測定するコンクリートの代表的な部分を採取します。
② 採取した試料にカンタブを倒れないように3本差込み(全長の1/3程度)、湿気指示部が暗青色に変化するまで侍ちます(約10分程度)
〔注:1〕カンタブは直射日光と水分に不安定なため、測定直前にアルミパックを破いて取り出し、測定は必す直射日光を避けて行います。
〔注:2〕カンタブの通気口部分が水に触れると湿気指示部が変色し終点がわからなくなるので、絶対に濡らさないように注意します。
③ カンタブの湿気指示部がオレンジ色から暗青色に変色したことを確認した後に、試料より取り出し、毛細管部分の色が茶褐色から白色(淡黄色)に山なりに変色した部分の頂点を0.1の位まで読み取ります。
湿気指示部の中心部が暗青色に変化した時点で測定は完了です。
④ カンタブの読みから添付の換算表を用いて、フレッシュコンクリート中の水に対ずるCℓイオン濃度を3本についてそれぞれ求め、その平均値を用いてコンクリート中の塩化物含有量を、計算します。
試験の注意事項です↓
① 換算表は、必事ず、箱についているものを使用します。
製造ロットごとに検定されていますので異なるロットのものは使用できません。
② 測定は必ず日影で行ないます。
③ 測定直前にアルミパックを破いてカンタブを取り出し使用します。
④ 湿気指示部は絶対に濡らしてはいけません。
⑤ カンタブの保管は、直射日光の当たる場所、および、湿気の多い場所は避けます。
⑥ 測定終了後もコンクリート中に差し込んだままにしておくと、検液が補給され、読みが大きくなりますので、測定終了後は、すみやかに取り出します。
⑦ 有効期限内に使い切ります。
新しいカテゴリー「34.試験・調査」の最初の記事は、地盤調査の手法の一つである「スウェーデン式サウンディング試験」です。
この試験は、地表面から深度10mまでの土の硬軟、締まり具合などを判別するための抵抗値を求める試験です。
戸建住宅など小規模建築物を建設する際の地盤調査に広く使われている試験です。
一般的にサウンディングとはロッドにつけた抵抗体を地中に挿入し、貫入、回転、引抜き等の抵抗から地層の性状を探査することを指します。
当初、北欧のスウェーデン国有鉄道が1917年頃に不良路盤の実態調査として採用しました。
その後スカンジナビア諸国で広く普及したこの調査方法を、1954年頃、建設省が堤防の地盤調査として導入したのが日本で採用された始まりです。
試験方法としては、作業・記録全てを手で行う手動式、作業のみ機械で行う半自動式、全て機械で行う自動式などがあります。
荷重による貫入と回転貫入を併用した原位置試験であり、土の静的貫入抵抗を測定し、その硬軟または締まり具合を判定するとともに土層構成を把握することを目的としています。
装置の操作が容易で迅速に測定ができ、現在最もポピュラーな地盤調査法といえます。
1976年には、<日本工業規格 JIS A 1221>に制定されています。
頭文字をとって「SS試験」ともいわれています。
費用は1件(3~4ポイント)当たり4万円~5万円程度で、調査時間は半日程度です。
試験の特徴は下記です↓
長所
* 試験方法が比較的簡便である。
* 試験結果をN値に換算できる。
* 深度毎に連続してデータがとれる。
* 調査費用が安い。
短所
* 土が採取できないため、詳しい地層の確認はできない。
* れき・ガラ等があると貫入が困難になる場合がある。
それでは、試験手順です。
スウェーデン式サウンディング試験の試験手順
1. 鉄の棒(ロッド)の先端に円錐形をねじったようなスクリューポイントを取り付け、それを地面に垂直に突き立てます。
手動式機械の詳細図です↓
(クリック拡大)

2. ロッドには、自由に上下させたり途中で固定もできる受け皿(クランプ、重さ5kg)を通し、さらに上端には水平に取っ手(ハンドル)を取り付けておきます。
3. クランプに円筒形のおもり(10kgのおもり2枚と25kgのおもり3枚)を1枚ずつ静かに載せていき、1枚載せるたびに、ロッドが下方に沈むかどうかを観察し、記録します。
(注)スクリューポイントとロッドにかかる荷重は段階的に5、15、25,50,75、100kgとなります。
4. 全てのおもりを載せるとクランプの重さと合計して100kgになりますが、その際、ロッドの沈み込みがなく静止している場合には、ハンドルを回転させ、先端のスクリューポイントで土を掘進しながら強制的にロッドを貫入させ、ロッドを25cm貫入させるのにハンドルを何回転させたかを記録します。
(注)ロッドの長さは最長で1mなので、貫入させるに従い、おもりの受け皿となるクランプが地面に着いてしまい、それ以上貫入させることができなくなります。
そこで、おもりとハンドルを一旦はずし、新たにロッドを継ぎ足した後、ハンドルを装着し直した上でクランプを所定の高さまで引き上げて、再度、3と4の作業を繰り返します。
(注)ハンドルの回転数は、180度(半回転)を1回とカウントします。
すなわち、360度回せば2回となるので、記録は「半回転数」という表記になります。
5. 規定の深度(後述)までの貫入が記録できた時点で測定を終了し、ロッドを引抜きます。
6. ロッドを引抜いた後の、直径が3cmほどの測定孔を利用し、孔が土で目詰まりしていない限り、メジャーで地下水位を計測・記録します。
7.こうして得た調査記録に基づき、試験結果の整理とデーター処理をおこない、地盤耐力・N値等を推測します。
土質の判定にあたり、スウェーデン式サウンディング試験では土質を判別するに十分な地中の土を採取することができません。
厳密には、様々な観点から土の成分や性質を分析し、建物を支える地盤としての強さを総合評価すべきですが、便宜的に、互いに性質が大きく異なる「粘性土」と「砂質土」に土質を2分類し、データ処理を行います。
また、この試験にプラスし、データー処理を行う場合、周辺の地盤の既存資料なども参考にします。
地盤の強さは、試験結果ばかりでなく、調査地周辺の地形や水路、隣地との高低差などの観察結果からも推定できる場合があるため、双方を合わせて考慮する必要があります。
下記写真は、某現場にて使用した、自動式のスウェーデン式サウンディング試験の機械と、試験状況です↓
(クリック拡大)


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