以前の記事にて、耐火被覆工法の一つとして、「マキベエ」と名打つ、巻付け工法を紹介しました。
今回は昔より、一般的に施工されている「岩綿吹付け工法」を掲載します。
岩綿吹付けは、不燃材料で、耐火性に優れており、耐火被覆の代表的な工法です。
鉄骨骨組等の耐火被覆で用いられ、ロックウール粒状綿を主原料とし、セメントを硬化材として、専用の吹付け機を用いて鉄骨などの下地に吹付け、被覆を構築する工法です。
一定の被覆層をつくる有機物を含まない現場施工の不燃製品です。
耐火・断熱・吸音性に優れさまざまな用途に使用されています。
もともと岩綿とは、石綿代用品として発明された鉱石を原料とした繊維状物質保温材です。
各種プラントや、船舶・車輌などの産業分野で幅広く使用されている他、建築用としても耐火・断熱・防音を目的としてビル・工場・一般住宅に 至るまで数多くの建物で使用されています。
数年前から世間を騒がしている「石綿」との違いを、一言でいうのなら、「結晶構造」という物の違いです。
石綿(アスベスト)は、非常に小さい針のような形の結晶が集まって出来ています。
そして、この結晶の面に従って剥がれたり破けたりしやすい性質があります。
よって、壊れるほど小さい針になるので、肺の細胞などに刺さってしまい、最終的には癌の原因となります。
一方,岩綿(ロックウール)は,人工的に天然の岩石を高熱で溶かして,それを細いノズルから噴出させて繊維状にしたものです。
ガラス繊維と同じく、結晶構造をもっていません。
よって、細かい針状の結晶が飛び散るということがありません。
つまり、アスベストとロックウールの大きな違いは,繊維の径で,一般的にロックウールの方が数百倍,数千倍,径が大きいため、空気中に飛散しづらく、健康を損ねる危険性が非常に低いのです。
岩綿吹付け工法の、主な特徴として下記が挙げられます。
1.耐火性・不燃性に優れています。
2.吸音性能・断熱性に優れています。
3.ロックウール(粒状綿)とセメントを材料としているので、軽量で、施工性に優れています。
4.現場吹付け施工なので、複雑な形状にも容易に適用でき、継ぎ目のない連続した被覆層が形成できます。
5.施工・乾燥がともに速く、高層階への圧送もできるので、工期の短縮となり経済的です。
6.もちろん、火災にあっても発煙もなく有害ガスの発生もありません。
国土交通大臣認定の、吹付けロックウール被覆耐火構造で認めている施工方法には、次の2つの工法があります。
1.乾式工法(工場配合材料を用いる工法)
ロックウールとセメントをあらかじめ工場にて混合した材料を吹付け施工機械で圧送し、ノズル先端の周囲から噴霧される水で包み込み、材料を湿潤させながら均一に下地に吹付ける工法。
2.半乾式工法(セメントスラリーを用いる現場配合工法)
水とセメントをあらかじめ攪拌装置のあるスラリー槽で混合し、吹付け施工機械で圧送されたロックウールをセメントスラリーと混合しながら均一に下地に吹付ける工法。
耐火材吹付けの施工における注意事項です。
(a) 耐火材吹付けの材料及び工法は,建築基準法に基づき認定を受けたものとします。
(b) 施工に先立ち,支障となる浮き錆,付着油等は除去しなければなりません。
(c) 耐火材の吹付け厚さは,確認ピンを用いて確認します。
スラブ及び壁面については2m2程度につき1箇所以上とし、柱は1面に各1箇所以上、梁は1本当たり、ウェブ両側に各1本、下フランジ下面に1本、下フランジ端部両側に各1本差し込んで確認します。
なお、確認ピンは,そのまま存置しておきます。
(d) 吹付けを行う場合は,十分な養生を行い,飛散防止に努めます。
これは非常に大切な作業のひとつであり、吹付けに際し、粉じんが外部に飛散しないように、シート等で囲い、必要に応じ、作業区画毎に養生囲いを行わなければなりません。
下記写真の左側は、ロックウール材料です。
右側は、吹付け施工機械です。

左が、鉄骨造の梁に、岩綿を吹付けている施工状況写真です。
右側が、柱における岩綿の吹付け厚さを、確認ピンを用いて確認している写真です。

スリーエム ヘルスケア(3M) 防じんマスク No.6000/2091-RL3No.6000/2091-RL3 M 1個
巻付耐火被覆材を紹介します。
耐火被覆とは、建築基準法において、耐火構造を必要とする建築物の柱、梁、壁、屋根及び階段の各部位が通常起こりうる火災時の加熱時間に対して耐えられるように、その建築物の構造種別や部位別に耐火性能が得られるように被覆する事です。
工法としては、ラス張りモルタル塗り、耐火材吹付け、耐火板張りがあります。
ラス張りモルタル塗りは、鋼材を下地として鉄網ラスを巻き、モルタルあるいはパーライトモルタルを所定の厚さで塗り付ける工法です。
施工速度が遅く、乾燥に伴うひび割れが発生しやすいという欠点があります。
現在の鉄骨造建築物に対する主流は、耐火材(ロックウール)吹付け工法です。
この工法には、乾式、半乾式、湿式があります。
吹付け機にて、材料(ロックウール、セメント、水)を、鉄骨等に直接吹き付けて施工します。
被覆材の付着を阻害する浮きさび等は、施工に先立ちワイヤブラシ等を用いて適切に除去しておく事が大切です。
耐火板張り工法とは、無機繊維混入ケイ酸カルウシウム板、ALC板、プレキャストコンクリート板等を貼付ける工法です。
今回下記写真で紹介している「マキベエ」と名打つ商品は、固定ピンを溶接して鉄骨に取付ける巻付け工法(特許第1944636号)です。
材料の扱いも非常に軽いため施工しやすく、高耐熱ロックウールを採用しているので、高い耐熱性があります。
吹付け工法とは異なり材料の飛散がなく、他業種との同時作業も可能で、飛散防止の養生も不必要です。
発塵が少ないため、環境にやさしいです。
工期短縮にもつながります。
今後、需要が増えてきて、単価的にも折り合いがついてくるようになれば、耐火被覆の主流になるのではないでしょうか。
施工状況、ピン材料、主材料を、写真にて紹介します↓
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