建築情報「けんけんちくちく」
建築関係の方、必見です。あらゆるノウハウが満載です。工種をカテゴリー別に分類しています。作業手順などを写真、ビデオでわかりやすくまとめています。

*

どうして、人間は屋根の雪を下ろすのか?(危険行動の要因)

先月、建築・住宅セミナー「よくわかる建物の屋根雪対策-屋根雪事故を防ぐために-」講習会に行ってきました。

主催は、
地方独立行政法人北海道立総合研究機構
建築研究本部 北方建築総合研究所
財団法人北海道建築指導センター
です。

私なりに考えさせられたことを、紹介します。

北海道の、今冬の雪の事故による死傷者数は、2月時点で、死者18人、負傷者225人です。

これは、2位の秋田県(死者5人、負傷者117人)を引き離して、ダントツ1位なのです。

そのなかで、屋根落雪による事故は、年々増加しているそうです。

原因は、おおきく下記3つに分けられます。

1.気象的要因
A.雪の降り方
B.気温

2.建物要因
A.作業上、危険な仕様
B.車庫物置、居住者の減少
C.無落雪屋根の普及

3.人的要因
A.作業の不慣れ
B.油断
C.高齢者の作業

特に、車庫・物置・農業施設などは、屋根が滑りやすい材質で出来ており、叉、高さも低いので油断が起きやすいのです。

叉、2世帯住宅で、高齢化が進み、2階の居住者がいなくなり、屋根の積雪状態が変化します。

そのような住居で、高齢者の雪おろし作業が多くなり、事故にもつながっているようです。

無落雪屋根の普及も大きな要因です。

ここでひとつ、考えなければいけないことは、「どうして屋根の雪を降ろすのか?」ということです。

現在の住居建築は、非常に安全な「屋根積雪荷重」を算定し、設計しています。
(例.札幌市 140cm、岩見沢市 160cm)

ところが、雪下ろしの事故発生日の積雪深度は、60cm前後が一番多いのです。

つまり、われわれ道民は、雪荷重算定用の積雪深よりも、かなり低い積雪深で雪下ろしを行っているのです。

これは、雪荷重以外の要因(雪庇など)で、必要性の低い雪下ろしを行っているということになります。

そこで、私が考える、

人が、屋根の雪を降ろす理由(私個人の見解)です!

 

1.建物が傷むので心配だ。

2.人の動線に雪が落ちる(玄関前など)子供や客に当たったら大変だ。

3.屋根の雪が落ちて、窓を塞ぐ。ガラスが割れてけがをしてしまう。

4.建物の付属物に支障をきたす(テレビアンテナ・ベランダ・電線など)

テレビ映りが悪くなる。ベランダの手摺が壊れる。電線が切れる。

5.自分の健康のため。冬は運動をしないと体調を崩してしまう。

6.美観・見栄え・自己満足。隣の旦那は、しょっちゅう雪下ろしをして働き者だ。それにひきかえ。。。。

7.整理整頓好きの日本人の性格。だらしない家もあるものだ。

8.その他。。。いくらでも。。。

このような理由で、人は雪下ろしをきっとするのでしょう。

そこで、家の設計にて注意すべき点を、記述します。

1.雪庇が出来る方向を、踏まえた設計。
屋根に登るタラップの位置
出入り口、歩行路、駐車場、給排気筒、灯油タンクの位置。
雪庇の出来る位置には、窓・ベランダなどを設けない。

下記写真は、自宅です。
屋根からの落雪で、窓がふさがりそうです↓
(クリック拡大)
屋根落雪03 屋根落雪04

2.太陽パネルなどを屋根に設置する場合は、雪対策を十分に検討すること。

3.雪下ろしに必要な、命綱を固定するアンカーを屋根に設置する。

4.タラップをつけない場合は、ハシゴ・脚立などを固定する治具が必要です。

5.屋根の形が複雑な場合は,積雪シミュレーションを行う。

 

基本的に、屋根の雪下ろしは、専門業者に依頼するのが、間違いありません。

屋根の表面の摩擦係数は、スケートリンクと同じなのです。

つまり、靴と屋根材の摩擦ではなく、溶け出した雪と屋根材の摩擦係数なのです。

人間は、雪と一緒に落下するのです。
これは暖かい日に雪下ろしをする傾向があるため、屋根の上の雪が溶けやすい状態にあるためです。
(だれも吹雪いてる日に作業はしないのです)

通常、雪下ろしの作業手順書を、一般の方は持ち合わせていません。

作業の順番、安全帯・ロープの使用方法、その他、作業用具・保護具の着用、などなど、経験プラス技術が、絶対に必要なのです。

専門業者のよる技術講習などを、町内会などでおこなってみるのも、ひとつの案ではないでしょうか。

下の写真は、雪庇で電線が支障をきたしている状態と、埋まってしまった車庫です↓
(クリック拡大)
屋根落雪06 屋根落雪02

なんどもいいます。

屋根の雪おろし作業は、とても危険な作業のひとつなのです!

 

最後になりますが、無落雪屋根に於いて、積雪のシュミレーションにより、雪庇の形成位置や吹きだまりを予測している研究所がありますので、紹介しておきます↓

問い合わせ先 (株)雪研スノーイーターズ

多機能ニュー楽々雪下ろし&雪庇落し・6m 「屋根に上がらずラクラク雪下ろし!角度調節機能付き」
コーンサイントップ2(蛍光オレンジ)  「落雪注意」片面表示  874-891




**関連記事も御覧下さい**

壁の配筋作業において予想される災害(建築工事現場)

今回は、RC造の壁配筋作業における「危険有害要因の特定」に関して、説明します。 つまり、壁の鉄筋を

記事を読む

福島県「太っちょなみえ焼きそば」

先日、知り合いの方に、いただきました。 福島県双葉郡浪江町の「太っちょなみえ焼きそば」です。 この

記事を読む

重機の積込みには危険がいっぱい!(危険予知訓練)建築工事現場編

前回に引き続き、危険予知訓練です。 今回は、重機の積み卸しの際に起こりうる災害について考えてみまし

記事を読む






  • にほんブログ村 住まいブログ 建築工事現場へ にほんブログ村 企業ブログ 建設業へ
トップへ戻る ↑