ALC(Autoclaved-Lightweight-Concrete)とは、高温高圧蒸気養生処理して作られた「軽量気泡コンクリート」と呼ばれる建築材料です。
セメント、石灰、硅砂等を主原料とした多孔質のコンクリートです。
比重0.6前後ですから、ALCは水に浮きます。
しかし、吸水性もあります。
日本におけるALCの歴史は古く40年程前迄さかのぼります。
建築基準法に基づき「ALC構造設計基準」が認定されたのは、昭和58年になります。
もともと、ALCの生まれはヨーロッパで、1930年ごろスウェーデンで工業生産化され、北欧を中心に広がっていったそうです。
ALCの特徴は、下記が挙げられます。
1.不燃であり、有毒ガス・煙をだしません。
2.アスベスト含有率0%です。
3.ホルムアルデヒドをはじめとした有害化学物質を一切含んでいません。
4.高い断熱性能があります。
ALCの断熱性能はコンクリートの約10倍です。
5.遮音性能も評価できます。
6.現場で作るコンクリートに比べ、工期が短くなるほか、品質が安定しています。
7.ALC板の内部には重量を軽くするために多数の気泡があり、水分を吸収しやすく、水分を吸収したALC板は性能が低下してしまいます。
施工の際には、このような特徴を捉え、理解することが大切です。
特に、外壁等に使用する場合は、雨水に対する処理を充分検討する必要があります。
(皮膜塗装の種類、地盤面からの基礎立ち上がり寸法等)
ALCは建物のいろいろな部位に採用されています。
1.外壁
鉄骨造 -ALC厚- 100mm 120mm 125mm 150mm 200mm
鉄骨造(C型鋼胴縁下地) -ALC厚- 50mm
木造 -ALC厚- 35mm 37mm 50mm
2.床
鉄骨造 -ALC厚- 100mm 120mm 125mm 150mm
木造 -ALC厚- 35mm 75mm 80mm
3.屋根
鉄骨造 -ALC厚- 100mm 120mm 125mm 150mm
4.間仕切
鉄骨造 -ALC厚- 75mm 80mm 100mm 120mm 125mm 150mm
5.耐火野地板(屋根下地) 鉄骨造 -ALC厚- 50mm
6.耐火被覆(柱・梁) 鉄骨造 -ALC厚- 50mm
外壁部分の、ALC施工手順です。
現在、ALCパネルの厚さは、50mm、もしくは100mmが一般的であり、施工方法が違います。
50mm以下の薄形パネルは、ビスにより下地胴縁に取付ける構法です。
それに対し、100mm以上の壁における施工方法は下記によります。
1.工事範囲、構法の確認、取付け位置の確認、施工図の確認
2.足元金物工事-ALCを取り付ける為に基礎の部分に、フラットバー金物を取付けます。(階高、風荷重によりアングル金物になる場合もあります)
3.下地金物工事-ALCを取り付ける為に各階の鉄骨梁の部分に、アングル金物を取り付けます。
4.建込み工事-ALC専用取付金物を下地金物に取り付けて、建て込みます。
5.シーリング工事-ALCを建て込んだ後、版と版の間にシーリングをします。
6.清掃して、ALC工事完了です。
壁ロッキング構法では出入隅部やベランダ等の腰壁との取合いおよび、階毎の水平目地にパネル伸縮目地を設けます。
伸縮目地のクリアランスは出入隅部では10~20mm、腰壁や他部材との取合いでは20mm、階毎の水平目地では10mmを標準とします。
左が、現場に外壁用ALC100mm材料を搬入してきた状況写真で、右側が外側スラブ面に下地のアングルを溶接している作業状況です↓

足元下地アングルの取付け完了写真と、作業員2名にて100mmの版を吊りながら設置している作業状況です↓

ALC建築設計のポイント
以前の記事にて、耐火被覆工法の一つとして、「マキベエ」と名打つ、巻付け工法を紹介しました。
今回は昔より、一般的に施工されている「岩綿吹付け工法」を掲載します。
岩綿吹付けは、不燃材料で、耐火性に優れており、耐火被覆の代表的な工法です。
鉄骨骨組等の耐火被覆で用いられ、ロックウール粒状綿を主原料とし、セメントを硬化材として、専用の吹付け機を用いて鉄骨などの下地に吹付け、被覆を構築する工法です。
一定の被覆層をつくる有機物を含まない現場施工の不燃製品です。
耐火・断熱・吸音性に優れさまざまな用途に使用されています。
もともと岩綿とは、石綿代用品として発明された鉱石を原料とした繊維状物質保温材です。
各種プラントや、船舶・車輌などの産業分野で幅広く使用されている他、建築用としても耐火・断熱・防音を目的としてビル・工場・一般住宅に 至るまで数多くの建物で使用されています。
数年前から世間を騒がしている「石綿」との違いを、一言でいうのなら、「結晶構造」という物の違いです。
石綿(アスベスト)は、非常に小さい針のような形の結晶が集まって出来ています。
そして、この結晶の面に従って剥がれたり破けたりしやすい性質があります。
よって、壊れるほど小さい針になるので、肺の細胞などに刺さってしまい、最終的には癌の原因となります。
一方,岩綿(ロックウール)は,人工的に天然の岩石を高熱で溶かして,それを細いノズルから噴出させて繊維状にしたものです。
ガラス繊維と同じく、結晶構造をもっていません。
よって、細かい針状の結晶が飛び散るということがありません。
つまり、アスベストとロックウールの大きな違いは,繊維の径で,一般的にロックウールの方が数百倍,数千倍,径が大きいため、空気中に飛散しづらく、健康を損ねる危険性が非常に低いのです。
岩綿吹付け工法の、主な特徴として下記が挙げられます。
1.耐火性・不燃性に優れています。
2.吸音性能・断熱性に優れています。
3.ロックウール(粒状綿)とセメントを材料としているので、軽量で、施工性に優れています。
4.現場吹付け施工なので、複雑な形状にも容易に適用でき、継ぎ目のない連続した被覆層が形成できます。
5.施工・乾燥がともに速く、高層階への圧送もできるので、工期の短縮となり経済的です。
6.もちろん、火災にあっても発煙もなく有害ガスの発生もありません。
国土交通大臣認定の、吹付けロックウール被覆耐火構造で認めている施工方法には、次の2つの工法があります。
1.乾式工法(工場配合材料を用いる工法)
ロックウールとセメントをあらかじめ工場にて混合した材料を吹付け施工機械で圧送し、ノズル先端の周囲から噴霧される水で包み込み、材料を湿潤させながら均一に下地に吹付ける工法。
2.半乾式工法(セメントスラリーを用いる現場配合工法)
水とセメントをあらかじめ攪拌装置のあるスラリー槽で混合し、吹付け施工機械で圧送されたロックウールをセメントスラリーと混合しながら均一に下地に吹付ける工法。
耐火材吹付けの施工における注意事項です。
(a) 耐火材吹付けの材料及び工法は,建築基準法に基づき認定を受けたものとします。
(b) 施工に先立ち,支障となる浮き錆,付着油等は除去しなければなりません。
(c) 耐火材の吹付け厚さは,確認ピンを用いて確認します。
スラブ及び壁面については2m2程度につき1箇所以上とし、柱は1面に各1箇所以上、梁は1本当たり、ウェブ両側に各1本、下フランジ下面に1本、下フランジ端部両側に各1本差し込んで確認します。
なお、確認ピンは,そのまま存置しておきます。
(d) 吹付けを行う場合は,十分な養生を行い,飛散防止に努めます。
これは非常に大切な作業のひとつであり、吹付けに際し、粉じんが外部に飛散しないように、シート等で囲い、必要に応じ、作業区画毎に養生囲いを行わなければなりません。
下記写真の左側は、ロックウール材料です。
右側は、吹付け施工機械です。

左が、鉄骨造の梁に、岩綿を吹付けている施工状況写真です。
右側が、柱における岩綿の吹付け厚さを、確認ピンを用いて確認している写真です。

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