組石・ALC工事

ヨーロッパ生まれの「ALC」その施工手順を習う

2008年6月29日

ALC(Autoclaved-Lightweight-Concrete)とは、高温高圧蒸気養生処理して作られた「軽量気泡コンクリート」と呼ばれる建築材料です。

セメント、石灰、硅砂等を主原料とした多孔質のコンクリートです。

比重0.6前後ですから、ALCは水に浮きます。

しかし、吸水性もあります。

日本におけるALCの歴史は古く40年程前迄さかのぼります。

建築基準法に基づき「ALC構造設計基準」が認定されたのは、昭和58年になります。

もともと、ALCの生まれはヨーロッパで、1930年ごろスウェーデンで工業生産化され、北欧を中心に広がっていったそうです。

ALCの特徴は、下記が挙げられます。

  1. 不燃であり、有毒ガス・煙をだしません。
  2. アスベスト含有率0%です。
  3. ホルムアルデヒドをはじめとした有害化学物質を一切含んでいません。
  4. 高い断熱性能があります。ALCの断熱性能はコンクリートの約10倍です。
  5. 遮音性能も評価できます。
  6. 現場で作るコンクリートに比べ、工期が短くなるほか、品質が安定しています。
  7. ALC板の内部には重量を軽くするために多数の気泡があり、水分を吸収しやすく、水分を吸収したALC板は性能が低下してしまいます。

 

施工の際には、このような特徴を捉え、理解することが大切です。

特に、外壁等に使用する場合は、雨水に対する処理を充分検討する必要があります。
(皮膜塗装の種類、地盤面からの基礎立ち上がり寸法等)

ALCは建物のいろいろな部位に採用されています。

1.外壁
鉄骨造 -ALC厚- 100mm 120mm 125mm 150mm 200mm
鉄骨造(C型鋼胴縁下地) -ALC厚- 50mm
木造  -ALC厚- 35mm 37mm 50mm

2.床
鉄骨造 -ALC厚- 100mm 120mm 125mm 150mm
木造  -ALC厚- 35mm 75mm 80mm

3.屋根
鉄骨造 -ALC厚- 100mm 120mm 125mm 150mm

4.間仕切
鉄骨造 -ALC厚- 75mm 80mm 100mm 120mm 125mm 150mm

5.耐火野地板(屋根下地) 鉄骨造 -ALC厚- 50mm

6.耐火被覆(柱・梁) 鉄骨造 -ALC厚- 50mm

 

外壁部分の、ALC施工手順です。

現在、ALCパネルの厚さは、50mm、もしくは100mmが一般的であり、施工方法が違います。

50mm以下の薄形パネルは、ビスにより下地胴縁に取付ける構法です。

それに対し、100mm以上の壁における施工方法は下記によります。

  1. 工事範囲、構法の確認、取付け位置の確認、施工図の確認
  2. 足元金物工事-ALCを取り付ける為に基礎の部分に、フラットバー金物を取付けます。(階高、風荷重によりアングル金物になる場合もあります)
  3. 下地金物工事-ALCを取り付ける為に各階の鉄骨梁の部分に、アングル金物を取り付けます。
  4. 建込み工事-ALC専用取付金物を下地金物に取り付けて、建て込みます。
  5. シーリング工事-ALCを建て込んだ後、版と版の間にシーリングをします。
  6. 清掃して、ALC工事完了です。

 

壁ロッキング構法では出入隅部やベランダ等の腰壁との取合いおよび、階毎の水平目地にパネル伸縮目地を設けます。

伸縮目地のクリアランスは出入隅部では10~20mm、腰壁や他部材との取合いでは20mm、階毎の水平目地では10mmを標準とします。

左が、現場に外壁用ALC100mm材料を搬入してきた状況写真で、右側が外側スラブ面に下地のアングルを溶接している作業状況です↓

足元下地アングルの取付け完了写真と、作業員2名にて100mmの版を吊りながら設置している作業状況です↓

ALC建築設計のポイント

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