今回は、継杭の溶接工法を紹介します。
継杭とは、必要な杭の長さが、一本の杭では足りない場合に、継手を設けて打設時に連結して打ち込む杭のことをいいます。
先に打ち込む杭が下杭、それに継ぐ杭が上杭と呼ばれます。
例えば、施工杭長が15mという事であれば、上杭C種=7mと下杭A種=8mの2本杭を溶接で連結し施工したりします。
杭の現場継手は、溶接継手と無溶接継手とありますが、今回は溶接継手の半自動溶接という方法を、記述します。
こういった特殊作業には、専用の資格が必要となり、資格を持った技能者が施工に当たります。
継杭溶接の一般的な仕様です。
A.杭の継手の工法は、特記による。
特記がなければ、アーク溶接による溶接継手とする。
B.継手の施工に当たっては、上下杭の軸線を同一線上に合わせる。
C.継手の溶接は、溶接方法に応じた次の技能資格者が行う。
a)手溶接を行う場合は、JIS Z 3801(手溶接技術検定における試験方法及び判定基準)によるA-2H程度、または(社)日本溶接協会規格 WES 8106によるFP-A-2Pの技量を有する者。
b)半自動溶接を行う場合は、JIS Z 3841(半自動溶接技術検定における試験方法及び判定基準) によるSS-2H程度、若しくは(社)日本溶接協会規格 WES 8106によるFP-SS-2P又はFP-SA-2Pの技量を有する者。
c)自動溶接を行う場合は、JIS Z 3841によるSS-2F又はSA-2F以上の技量を有し、自動溶接に 1年以上従事した者。
d)a)又はb)によることが困難な場合は、手溶接にあってはA-2F、半自動溶接にあってはSS-2F又 は、SA-2Fの技量を有し、1又は2と同等以上の能力があると認められる者。
D.溶接施工は、JIS A 7201(遠心力コンクリート杭の施工標準)及び(社)日本溶接協会規格 WES 7601(基礎杭打設時における溶接作業標準)による。
E.溶接部の確認は、JIS A 7201の9.6溶接部の検査による。
F.準備作業
杭継手溶接部における表面の錆・泥土などの溶接に有害な付着物を、ワイヤーブラシ及び布などで除去する。
気温が0℃から-15℃の場合は、溶接部から100㎜以内の部分をプロパンバーナーで36℃以上に余熱してから行う。
G.溶接ワイヤー
溶接ワイヤーは、JISZ3313「軟鋼及び高張力鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤー」を使用する。
また、ワイヤー径は、3.2㎜とする。
H.溶接機
溶接機は、半自動溶接機を使用する
I.溶接施工
a)降雨、または強風(10m/S以上)の時は施工しない。
ただし、ある程度の風で溶接部及び溶接工が影響を受けないようにシートで防護処置を行う場合は、責任技術者の承諾を受けて行う。
b)溶接ワイヤーの保持は、適当なアーク長さと角度を保ち、運棒に注意して十分な溶け込みを確認する。
c)溶接は、全周溶接とし、余盛りは3㎜以下とする。
d)溶接完了後は、スラグを取り除く。
J.外観検査
溶接完了後は、目視によって、溶接部に欠陥がないか検査する。
建込みから、溶接までの作業手順です。
A.上杭の建込
①上杭を下杭と同様の手順で、吊り込む。
②下杭・上杭の溶接端板をウエス・ワイヤーブラシで清掃する。
③下杭に建込バンドを取り付ける。
④上杭を下杭に載せる。
⑤上下の杭軸が一直線になるようにして、溶接開先部の食い違い量は2㎜以下、ルートかんかくは4㎜以下に調整する。
⑥溶接開先部を仮止め溶接する。
⑦建込バンドを外す。
B.継手溶接
①開先部の泥や錆をワイヤーブラシで取り除く。
②継手溶接を行う。
下記写真が、某現場における継杭溶接状況です↓
(クリック拡大)
杭工事は、奥が深いので、これからも度々紹介する予定です。
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