塗装の種類は多々あり、いままでも4回記事にしています。
今回は、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「建築工事共通仕様書」によるところの、「つや有合成樹脂エマルションペイント塗」を紹介します。
材料は、JIS-K5660に規定されており、合成樹脂エマルションペイントと着色顔料、体質顔料、補助剤、添加剤等から構成される水系塗料です。
水による希釈が可能で水を加えて塗料に流動性をもたせることができ、臭気が少なく溶剤の揮散による大気汚染や中毒の危険性がない塗料です。
最近の環境問題に適した塗料といえるのでしょう。
塗装工事において、適正な塗膜作るためには、適正な塗布工程が必要です。
それでは、さっそく「素地ごしらえ」からです。
素地ごしらえについては、以前の記事「鉄鋼面の素地ごしらえ」に書いてありますので、再読してみてください。
今回は、「ケイカル面のつやあり合成樹脂エマルションペイント塗」とします。
ケイカルとは、ケイ酸カルシウム板のことです。
この材料は、ケイ酸カルシウムと繊維系物質を化学的に配合して生まれた物質です。
ケイ酸カルシウム板の特徴としては、耐火性・断熱効果・強度に優れていることがあげられます。
さて、そのような素材に対する素地ごしらえです。
せっこうボード面及びその他ボード面の素地ごしらえは下表によります。
種別は特記によります。
特記がなければ、せっこうボードの目地工法が継目処理工法の場合はA種、その他の場合はB種とします。
せっこうボード面及びその他ボード面の素地ごしらえ↓(クリック拡大)
1. 屋外及び水回り部の場合は、工程3及び工程5の合成樹脂エマルションパテは、塩化ビニル樹脂パテとします。
2. 工程3及び5のせっこうボード用目地処理材は、素地がせっこうボードの場合に適用します。
3. けい酸カルシウム板の場合は、工程3の前に吸込止めとして反応形合成樹脂ワニス(2液形エポキシ樹脂ワニス)を全面に塗り、工程7は省略します。
4. 仕上げ材が仕上塗材の場合は、パテ及び工程7の吸込止めは、仕上塗材製造所の指定するものとします。
5. 仕上げ材が壁紙の場合は、パテ及び工程7の吸込止めは、壁紙専用のものとします。
下記写真は、某現場における「ケイカル板」に「つや有合成樹脂エマルションペイント」を施す際の素地ごしらえ状況です
↓(クリック拡大)
左より「汚れ、付着物除去」次が「吸込止め」です。
つづいて、塗装工程です。
コンクリート面・モルタル面・プラスター面・せっこうボード面・その他ボード面等つや有合成樹脂エマルションペイント塗りは、下表により施工します。
種別は特記によります。
特記がなければB種とします。
下記写真が、某現場における「ケイカル板」に「つや有合成樹脂エマルションペイント」を施す際の塗装施工状況です↓(クリック拡大)
左より「下塗り」次が「上塗り」です。
このような下地から仕上げまでの工程を経て、完成となります。
塗装工事の施工管理における一般的な注意事項です。
(a) 塗装場所の気温が5℃以下、湿度が85%以上又は換気が適切でなく結露するなど塗料の乾燥に不適当な場合は、原則として、作業を行わない。
やむを得ず塗装を行う場合は、採暖、換気等の養生を行う。
(b) 外部の塗装は、降雨のおそれのある場合及び強風時には、原則として、行わない。
(c) 塗装面、その周辺、床等に汚染、損傷を与えないように注意し、必要に応じて、あらかじめ塗装箇所周辺に適切な養生を行う。
(d) 塗装を行う場所は、換気に注意して、溶剤による中毒を起こさないようにする。
(e) 火気に注意し、爆発、火災等の事故を起こさないようにする。
また、塗料をふき取った布、塗料の付着した布片等で、自然発火を起こすおそれのあるものは、作業終了後速やかに処置する。
以上、適材適所に応じた、施工管理が大切になります。
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