ちょっと、いつもと違う観点で、建物のVOC検査に関して記述致します。
カテゴリーは、ニュアンスが違うのですが、安全管理にしました。
最近は、コンクリート、鉄筋等の品質検査に並んで、このVOC検査も行なうようになりました。
VOCとは、人体に有害な揮発性有機化合物の略称です。
新築やリフォーム住宅において「目がチカチカする」「のどが痛い」「めまいや吐き気、頭痛がする」などの症状である「シックハウス症候群」の一因とされているのが、建材や家具等から発生するホルムアルデヒドやVOCなのです。
そこで、シックハウス症候群の対策として、ホルムアルデヒドやVOCを低減化した建築材料を採用したり、VOC検査の実施などに取り組むようになりました。
一般のVOC検査とは、ホルムアルデヒドとVOC(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン)の濃度を検査します。
改正建築基準法におけるホルムアルデヒドに関する建築材料の規制は、「居室」と、その居室をとりまく「天井裏等」を対象としています。
それでは、測定方法です。
建物が完成後、1週間以内に行うことが理想的です。
室内空気質の測定方法は大きく分けて、「標準的な測定方法(標準法)」と「パッシブ型採取機器による測定方法(パッシブ法)」と「簡易法」の3種類があります。
「標準的な測定方法(標準法)」は正確に測定できますが、測定機器がやや大がかりで複雑になるので、専門の機関に頼むことが必要です。
「パッシブ型採取機器による測定方法(パッシブ法)」は、分析法が標準法と同じで、精度がよく、バッジ型のものとチューブ型のもの等があります。
測定機器の取り扱いが容易で、専門的な知識や経験がなくても測定できます。
「簡易法」は、取り扱いが容易で、測定結果がすぐにわかります。
しかし、機器によっては精度上の問題があること等により、安定した測定値を得ることが困難です。
そのため、指針値を超えていないことをスクリーニング(室内化学物質濃度のおおよその目安を測定)するために使うことが望ましいとされています。
パッシブ型の具体的測定方法です。
①家全体の窓と室内扉(キッチンや収納等設備類の扉も含みます)を30分開放します。
②その後、5時間、窓のみを密閉します。
その際換気システムは稼動し、台所換気扇は停止します。
③居室の中央付近で床から1.2〜1.5m(息をする高さ)のところに袋からとりだし、裸の状態にした測定バッチをおきます。
(測定バッチを設置する際、設置者の整髪料、たばこ、香水、化粧等には十分注意します)
④設置が終わったら24時間密閉状態で、人が出入りしないようにします。
(このとき、玄関のドアに測定中入室禁止の張紙などをし、立入禁止を明確にします。)
⑤24時間経過したら、すみやかに測定バッチを引き下げ、指定の密閉袋にいれ、検査機関に送り、完了です。
測定を行うにあたっての注意事項です。
・建物と外部ドアに関しては、必ず閉めること。
・室内のドアや収納庫などは開放しておくこと。
・時間帯としては、できる限り一日の中で気温の高い昼前後での測定が望ましい。
一般的な化学物質名と、その発生源の一例です。
1.「ホルムアルデヒド」 合板、パーティクルボード、壁紙用接着剤等に用いられるユリア系、メラミン系フェノール系等の合成樹脂、接着剤・一部ののり等の防腐剤
2.「アセトアルデヒド」 木材、一部の接着剤等
3.「トルエン」 内装材等の施工用接着剤、塗料等
4.「キシレン」 内装材等の施工用接着剤、塗料等
5.「エチルベンゼン 内装材等の施工用接着剤、塗料等
6.「スチレン ポリスチレン樹脂等を使用した断熱材等
これらの建材を使用する場合には、できるだけホルムアルデヒドの発散量の少ないものを使用することが大切です。
下記写真は、某集合住宅現場における、パッシブ法のよるVOC検査状況です↓
(クリック拡大)
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