この Sheet pile 工法とは、過去に何度か紹介している「山留工事」の一種です。 山留めとは、地下構造物、埋設物等の施工中、掘削の側面を保護して周囲地盤の崩壊や土砂の流出を防止するためのものです。
建築工事における「山留工事」
山留めとは、地下構造物、埋設物等の施工中に、掘削の側面を保護し、地盤の崩壊や土砂の流出を防止するためのもので、「親杭矢板工法」などは、その代表的なものです。 「親杭横矢板工法」とは、親杭にH形鋼、レール等を 80~180cm程度の間隔に打設し、掘削に伴い横矢板を入れて山留め壁にする工法です。
今日から使える実践的山留工事講座(親杭横矢板工法)
止水性はありませんが、比較的硬い地盤でも施工可能であり、他の工法に比べて経済的に有利です。
シートパイルは、鋼矢板(こうやいた)とも呼ばれ、凹凸があり、両端に継ぎ手がついている鋼板です。
今回、使用した材料の搬入写真です。
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その特徴は、下記です。
- 硬い地盤への打込みが可能であり,また引抜きも容易で反復使用にも適しています。
- その断面形状により,U形,Z形,直線形,H形の4種があり,いずれも圧延によって製造されます。
- お互いの板が緊結されるので、外周から流れ込んでくる水を、ある程度防ぐことが出来ます。(親杭矢板工法との一番の違いです)
- 互い違いに組み合わせて、継ぎ手をつなげることにより「鉄の壁」ができ、土中に埋め込んで護岸や防波堤、岸壁を作るのに適しています。
- シートパイルを土中に埋めこむだけで工事が完成します。ただし、高い技術力が必要になります。
- 剛性があまり高くないため、壁体の変形が大きくなる点に注意が必要です。
わたしは、実は、数回しか、シートパイル工法を経験していません。
山留めといえば、親杭矢板工法の経験がほとんどなのです。
このことは、シートパイル工法が、地質・経済性などを含む条件が、不適合だったことが要因と考えています。
よって、経験不足で苦手なのです。
それでは、打設手順です。
使用した打設機械は、RX杭打機(SRX3000 油圧式オーガー削孔)です。
これは、油圧ショベル(0.7㎥~1.2㎥)のベースマシンに、多関節アームを取付、アタッチメントでアースオーガー高周波バイブロ(削孔注入/振動工法)を装備しています。
H形鋼、鋼矢板(シートパイル)を打設することが出来ます。
①バイブロハンマーにシートパイルを吊りこみます。
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②定規(リーダー)に合わせてセットします。
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③バイブロ振動で圧入します。
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④所定の深さに到達したら、バイブロを停止します。
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⑤チャックを解放し、打込完了です。
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打込が完了すれば、親杭矢板工法とは違い、そのまま掘削を進められます。
(矢板入れが必要なし)
ただし、ある程度の深さ・条件により、切梁・腹起しが必要になります。
これは、親杭矢板工法も同じです。
その後、地下躯体が構築されれば、埋戻しをおこない→シートパイル引抜きという流れになります。
引き抜きは同じ機械で、打込の逆手順で施工します。
掘削後、切梁施工中の写真です。
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というわけで、苦手なシートパイル工事を紹介しました。
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