屋根板金工事

はじめての経験です「屋根の銅板葺き」建築工事編

2012年10月1日

長いこと、現場に携わっていますが、機会があり、はじめて屋根に銅板を葺きました。

今回紹介しているのは、寺社建築の庇部分(R屋根)です。

日本における銅と建築の始まりは、飛鳥・天平時代と伝えられており、主として宮殿や・神社・仏閣の主要部分・和風住宅屋根・門の屋根などに使用されてきました。

伝統的な美しさを持つ銅板は、長年、日本人に愛されてきた素材です。

現在、社寺の板金職人は少なく、今回の施工は東北から来ていただきました。

銅板の代表的な特徴は、緑青(ろくしょう)という銅の錆の一種です。

緑青が、銅板屋根に発生すると、表面をおおい、普通の金属のように錆を中まで浸透させないように銅板自体を守ります。

この性質のため、ほかの金属屋根などに比べて塗装などが、必要としないすぐれた特性を持っています。

皆さんの周りの、古いお寺の屋根をご覧になってください。
落ち着いた緑色になっているならばそれが、緑青が発生している銅板屋根です。

またこの素材は、やわらかく、たいへん加工しやすい材料です。
折り紙の鶴を折る職人さんもいると聞いています。
よって、神社や仏閣などの複雑な、曲線にも対応できるのです。

さて、施工手順です。

今回は、銅板一文字葺きを施工しました。
一文字葺きとは、屋根材を葺いたときに、次の段で、ちょうど前の段の屋根材の真ん中にくるように目地をもってくる屋根の葺き方を言います。
銅板屋根の代表的な葺き方です。

銅板の材料で、通常よく使用されるのは、455ミリ×1212ミリの銅板材料、材料厚さ0.3ミリや0.35ミリを、1212ミリ側の縦長銅板の方向に、4つ切り、6つ切り、8つ切りに切って加工することが多いです。

下記写真は、今回使用した銅板材料{45512120.35)です↓
(クリック拡大)
銅板材料01

その他、455ミリ幅のコイル巻きの銅板から切り出したり、365ミリ×1212ミリの銅板の平板から切り出したりします。

その中でもよく使用されるのは、6つ切り、8つ切りの方法です。
その他いろいろな切り出し方があります。

切断状況です↓
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銅板切断01

そして、切り出した銅板の板を、はぜ折りしたのち、拍子木を使ってたたきます。
そのあと精密バッタという機械で加工して下のような本体の形に加工します。

加工状況です↓
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銅板加工01

加工完了です↓
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銅板加工完了01 銅板加工完了02

次に取付方法です。

最初に、通常の板金屋根と同じように、ルーフィングを貼り付けます。

貼付状況です↓
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銅板ルーフィング下地01

その後、横葺き材料の屋根と同じで、本体に吊子(つりこ)を使用して取りつけます。
本体の上に取り付けている小さいものが吊子です。
これで屋根材を止めます。

吊子の、取付状況です↓
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銅板吊子01 銅板吊子02

施工上の注意点は、吊子のピッチです。
取付け吊子が少ないと、屋根材が、波をうったようになる、あばれ現象をひきおこします。

引き続き、貼付状況です↓
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銅板貼付01 銅板貼付02 銅板貼付03

このように、貼り込んでゆき、完成です↓
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銅板完成01 銅板完成02

銅板屋根の注意点として、「電蝕」があります。

「電蝕」とは、二種の異なる金属が同時に電解質溶液に接触したとき、金属間の電位差により、イオン化傾向の強い金属から、弱い金属に電子が移動、電荷を失った金属原子がイオンとして溶液中に溶け出すことで、金属が腐食する現象です。

よって、銅板とガルバリウム鋼板、亜鉛メッキ鋼板などの直接接触は、避けなければなりません。

また、銅板屋根の上に、ガルバ鋼板の屋根がある場合、その屋根から落ちてきた雨水でも、腐蝕が発生します。

銅板を葺く際には、このような特性をしっかりと、考慮しなければなりません。

どうしても接触しなければならない場合は、接触面に防護策として、絶縁ビニールテープを貼る、パッキンなどをつけます。
今回は、アルミ笠木との取り合い部分に、ゴム板を取り付けました。

現在、実際に葺いてから、30日程度経ちますが、銅板の輝きはもう無くなっており、黒ずんだ渋みのある色に変色しています。

毎日、色の変化を見るのが楽しみでもあり、とても趣がある素材だと感じています。

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