建物を建てる際に、必ず必要になる工種が土工事です。
基礎を築造するためには、地面を掘削し、支持地盤面に建物を築造するわけです。
今まで2度ばかり、土工事に関して記事(土工事、土工事その2)にしましたが、今回は一歩踏み込んだ基本を述べてゆきます。
土工事の範囲は、掘って(掘削、根切り、根伐、根堀)、埋めて(埋戻し)、余った土を捨てる(残土処分)に分かれます。
最初に、「根切り」における品質管理事項です。
(1) 根切りは、所定の形状及び寸法を有すること。(施工図等に基づき施工する)
(2) 床付け面は、上部の構造物に対して有害な影響を与えないように、平たんで整ったものであること。
(3) 周辺の状況、土質、地下水の状態等に適した工法とし、関係法令等に従い、適切な法面とするか又は山留めを設ける。
(4) 根切り箇所に近接して、崩壊又は破損のおそれのある建築物、埋設物等がある場合は、損傷を及ぼさないよう処置する。
(特に隣家等は気の使うところです)
(5) 根切り底は、地盤をかく乱しないように掘削する。
なお、地盤をかく乱した場合は、自然地盤と同等以上の強度となるように適切な処置を定め,監督職員の承諾を受ける。
(6) 寒冷期の施工においては、根切り底の凍結等が起こらないようにする。
(シート養生等)
(7) 根切り底の状態、土質及び深さを確認し、監督職員の検査を受ける。
なお、支持地盤が設計図書と異なる場合は、監督職員と協議する。
次に「埋戻し」です。
(1) 埋戻しに先立ち、埋戻し部分にある型枠等を取り除く。
(2) 埋戻し及び盛土は、所定の材料を用い、所要の状態に締め固められており、所要の仕上り状態であること。
所定の材料とは、掘削した土で埋めるのか、購入した土で埋めるのか、どこかにある土を持ってくるのか等を指します。
(道内では、購入土は火山灰が多いです)
(3) 埋戻し及び盛土の材料及び工法は下表により、種別は特記による。
なお、埋戻し及び盛土は、各層300mm程度ごとに締め固める。
A 種 山砂の類 水締め,機器による締固め
B 種 根切り土の中の良質土 機器による締固め
C 種 他現場の建設発生土の中の良質土 機器による締固め
D 種 再生コンクリート砂 水締め,機器による締固め
(4) 埋戻し及び盛土の種別がB種又はC種で、土質が埋戻し及び盛土に適さない場合は、監督職員と協議する。
(5) 余盛りは、土質に応じて行う。
埋戻しに関しては、以前も記事(埋戻転圧状況)にしていますので、読み返してみてください。
最後に「残土処理」ですが、建設発生土の処理は、設計図書特記によります。
特記がなければ、構外に搬出し、関係法令等に従い、適切に処理しなければなりません。
土工事においては、災害及び公害の防止にも、下記のような注意を払う必要があります。
(a) 工事中は、異常沈下、法面の滑動その他による災害が発生しないよう、災害防止上必要な処置を行う。
(法面養生等、日常の管理が大切です)
(b) 構外における土砂の運搬によるこぼれ及び飛散、排水による泥土の流出等を防止し、必要に応じて清掃及び水洗いを行う。
(公共の道路を汚さないよう処置が必要です)
(c) 掘削機械等の使用に当たっては、騒音・振動その他現場内外への危害等の防止及び周辺環境の維持に努め、必要に応じて適切な処置を講ずる。
(d) 給排水管、ガス管、ケーブル等の埋設が予想される場合は、調査を行う。
なお、給排水管等を掘り当てた場合は、損傷しないように注意し、必要に応じて緊急処置をし、監督職員及び関係者と協議する。
(これは、結構この仕事に従事している方は、経験していると思います。
水道管を切った、ガス管を損傷したという話は数多く、非常に綿密な事前調査が必要です)
(e) 工事に支障となる軽易な障害物は、すべて除去します。
また、予想外に重大な障害物を発見した場合は、監督職員と協議する。
(遺跡、爆弾などで、私も20年前、東京の現場で不発弾を発見した経験があります)
土工事は、建築工事の初期の段階での工種であり、着工時の慌ただしさに振り回されることなく、確実な施工管理が要求されます。
また、最初から目視出来ない部分を施工する難しさもあり、臨機応変な対応が必要となります。
下写真は、某現場における基礎掘削状況です↓
天候に恵まれ、このような作業は気持ちがよいものですね。
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