
RC造の建築物において、型枠に取付け、コンクリートに打ち込むものは、たくさんあります。
天井インサート、設備スリーブ、設備用インサート、電気配管、レジスタースリブ、エアコン用スリブ、避難ハッチ、鉄骨アンカーボルト、サッシュ用溶接アンカー、耐震スリット(最近は非常に多く、大切です)、エレベーター用吊フック、手摺取付用アンカー、などなど。。
そのなかでインサート金具とは、あらゆるコンクリート建造物の天井や側壁に、さまざまな部材、機材類を取り付けるために必要な取付金物を称します。
コンクリートの壁・天井等に、なにかしらの部材を取り付けるためには、通称コンクリートアンカーと呼ばれるボルト、またはメネジの金具を打ち込んで取付金具と締結します。
このコンクリートアンカーには大きく分類して二つのタイプがあり、ひとつは完成したコンクリート面に後から穴開け作業を加えてアンカーを打ち込む「あと施工方式」(あと打ちアンカー)と、もうひとつはコンクリートを流し込む前に、前もって型枠に金具を装着しておく「まえ施工方式」です。
一言で称すると、建築用のインサート金具とは、この「まえ施工方式」による、メネジ埋込みアンカーの総称です。
さて、天井インサートです。
建築物における一般的な天井組立は、最近はほとんど軽量鉄骨下地によるものです。
過去記事「軽量鉄骨天井下地(LGS工法)」参照。 軽量鉄骨下地は、壁天井とも、現在の建築物の内装工事には、欠かせない工種となっています。
いまさら聞けない「軽量鉄骨天井下地」(LGS工法)
最低でも、基本的な施工手順は、知識として身につけておく必要があるのではないでしょうか。
その場合、900ピッチ程度にコンクリートスラブより、吊りボルトを下げて、下地を組んでゆきます。
つまり、インサートの数も天井面積により、かなりの数量になります。
ここが一番のポイントですが、
まえ施工方式によるインサート作業は、あと施工方式のようなコンクリートに対する穴開け作業が必要ないため、施工上のトータルコストが大巾に下がります。
つまり、大型の建築物件や軽天工事など、インサート金具を大量に使用する場合には、大きなメリットとなるのです。
また、機械設備など重量物の設置においても、埋設の深さなど、金具のネジ径、長さ選定だけで施工でき、安全性、安定性、信頼度からも高く評価されているのです。
天井インサートの種類ですが、大別し、型枠用とデッキ用があります。
更に用途に応じて、断熱材や耐火材吹付用があります。
材質についても、一般スチール製の他にステンレス製や、結露防止目的のオール樹脂製品(断熱インサート)などが、販売されています。
もちろん、吊る重量により、太さ長さがそれぞれ分けられています。
施工手順として、最初にインサートの割付図を作成します。
つまり、天井から吊る設備機器等も全て含めて、どの位置にインサートを設置するのかを施工図としてあらわすわけです。
周辺部150mmとか、カーテンボックス用とか、小梁の位置とか、結構900ピッチで単純にとはゆかず、頭を使います。
その後、使用するインサートのタイプを決定します。
合板型枠にインサートを取付ける場合、普通は「釘」を使って仮止めします。
しかし、型枠解体後にスラブ下に残った釘は危険ですし、錆や結露の原因ともなります。
そのようなことを防ぐために、「樹脂釘タイプ」又は「釘処理不要タイプ」のインサートを使用する場合もあります。
他に注意することで、よく行なうのは、インサートの色分けです。
つまり、建築は黄色、設備は赤、電気は緑、などと決めておき、コンクリートを打ち込んだあとでも、自分の分野の使用するインサートが一目で分かるようにしておきます。
下記写真は、某マンション現場において、天井インサートをスラブ型枠に取付けている状況と、物干金物専用インサートの取付状況です↓
軽天用 天井インサート ポパイ2 釘付き グリーン P-3020 500個入
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