土工事

今日から使える実践的山留工事講座(親杭横矢板工法)

2012年3月18日

山留工事は、過去に2回ほど、紹介しています。

2回目は、山留工法の一種である「親杭横矢板工法」の記事でした。

今回は、この工法の作業手順を、工事写真とともに紹介いたします。

「親杭横矢板工法」とは、親杭にH形鋼、レール等を 80~180cm程度の間隔に打設し、掘削に伴い横矢板を入れて山留め壁にする工法です。

止水性はありませんが、比較的硬い地盤でも施工可能であり、他の工法に比べて経済的に有利です。

 

工法の特徴

・施工が容易で工費が比較的安い。
・地中にある小規模な埋設物は、親杭間隔を変更することによって対処可能。
・親杭は繰り返し使用可能。
・相互の親杭間に、木製の横矢板をはめ込むため、遮水性に劣る。
・多少の地下水位に対しては、水替等により安全性に問題がなければ対応可能である。

作業手順

最初に、親杭(H鋼)を打設します。

某現場における、H鋼搬入状況です↓
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H鋼を打設するために、オーガーで穴を掘ります。

その使用する「オーガー」の写真です↓
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H鋼の為の穴を掘っているところです↓
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オーガー掘削した後、H鋼を埋めていきます。

H鋼挿入の施工状況です↓
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掘削したところから、H鋼の間に矢板を入れ、土留めをしていきます。

使用する矢板材料搬入状況です↓
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矢板挿入の施工ポイント

  • 矢板を入れる所の長さを測る。
  • 矢板の切断をする。(通常、木材業者にて長さを加工して搬入)
  • 矢板を必要量、配置する。
  • 裏の土を矢板が入る程度とる。
  • 矢板入れ(根伐底より矢板1枚分掘下げる)。
  • 裏込めをする。
  • キャンバー締めを行う。
  • キャンバー押え桟木を取付ける。
  • H鋼とH鋼との間隔が設計寸法より大きくなれば、矢板の問にバタ角を入れる。
  • 埋設物周りの矢板の補強をする。
  • 横矢板は、親ぐい(H鋼)のフランジに十分かかる長さのものを用いる(3㎝以上)。

矢板施工状況です↓
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作業および山留めを安全に確保するための留意事項

・作業床の確保。
・機械掘削と併行して作業を行う場合には、作業分担区域をきめ、機械の稼動範囲内に作業者が立ち入らないようにする。
・1回の掘削深さは矢板をH鋼にはめ込むことができる程度(すでに入れた矢板の下端から50㎝程度)までとする。
・矢板は、親杭へのかかりしろを25m/m~30m/m以上とする。
・矢板をさし込んだら、裏面に一枚ごと土(砂まじりの粘土)を入れて充分に締め固める。
・パッキングを1/3打込んでも、がたがあるときは、裏込め矢板を用いて裏から締める。
・矢板を深さ1.5m程度まで建込んだら矢板押え用の「ぬき」(巾5㎝、厚さ1.5㎝程度)を矢板両端にくぎ止めをする。
・間隔が開いている場合に矢板三枚に一本、二枚に一本というように補強用のバタ角を入れる。
・必要以上に間隔のある場合は、チャンネル等をH鋼に溶接し、それとバタ角にくさびを入れてとめる。
・埋設物周りは、間隙が生じないように完全に矢板などでふさぐ。
・埋設物周りが漏水しているときは、土を詰めた麻袋等をつめ込んで土砂の流出をふせぐ。
・余掘をしない。
・矢板面をハンマーでたたき空隙の有無をチェックする(中間山留チェック時にも行う)。
・裏込め土は充分押入れ地山と矢板のすき間のないようにする。
・矢板入れ後、キャンバーで締める(地山が移動始めるとキャンバーが落ちる)。
・矢板面より水が出る時は土砂の流出防止の処置をする。
・掘削が進んだ所まで必ず矢板を完成させる。

ここまで行い、片付け、整理整頓を確認し、作業終了です。

親杭横矢板工法は、メジャーな山留め工法です。
施工管理をしっかり行い、安全な土留めを構築することが大切だと考えます。

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