コンクリートの現場における試験状況です。
前回、「コンクリート打設」という記事を書きましたが、下記の写真が、そのときのコンクリート試験です。
コンクリート構造物の安全確保のためには、工事現場での品質管理が重要になります。
まず、手前左側がスランプ試験(JIS A 1101)です。
固まる前のコンクリートの固さ軟らかさを表す用語を「スランプ」といいます。
試験方法は、現場に搬入されてきたコンクリートを採取して、そのコンクリートを、スランプコーンと呼ばれる上端のほうが狭い円筒形の容器(鉄製)にいれて、コーンを真上に抜き取った時に、コンクリート頂部の高さが何cm下がったかを測定します。
スランプ値は、通常設計図書に明記されており、数値が大きいほど軟らかいということです。
一般に建築用は15〜18cm程度の軟らかめ、土木用は5〜12cm程度の硬めのコンクリートが使用されます。
合否判定基準は、8cm以上18cm以下→±2.5cm、21cm→±1.5cmとなっています。
手前中央が、空気量試験 (JIS A 1128)です。
専用の試験器にスランプ試験と同じようにコンクリートを入れます。
コンクリートの作業性(ワーカビリティー)の改善や、耐久性(耐凍害性等)の向上のため、コンクリートを練り混ぜる段階で微小な空気をいれます。
通常そのために、AE剤またはAE減水剤と呼ばれるコンクリート用化学混和剤を使用します。
圧縮強度はほぼ空気量に比例して低下するので空気量の過多には注意を要する必要があります。
判定基準は、普通コンクリートの場合、 空気量4.5%±1.5%です。
手前右側が、塩化物量の測定試験です。
簡易試験紙によって試験をしている状況です。(デジタル測量器もあります)
コンクリート中にある程度以上の塩化物が含まれていると、コンクリート中の鉄筋がさびやすくなり、塩化物が塩化ナトリウム(NaCl)であると、アルカリ骨材反応を助長する要因ともなります。
塩化物総量の限度については、原則として、0.30kg/m3を規制値としています。
最後に、圧縮強度試験用供試体の製作(JIS A 1132)です。
写真に写っている後ろの茶筒状の18本です。
3本一組で、150m3に1回試験体を採取し、20±2℃の水中養生をおこない、 1回の試験結果が、呼び強度の値の85%以上でかつ、3回の試験結果の平均値が呼び強度の値以上であれば合格となります。
試験方法は、専用の機械に試験体を挟み込み、上から圧力をかけ破壊するまでの強度を測定します。
通常、4週強度で判断します。
また、型枠解体時期を判断するために、予備の供試体をとることがあります。
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