久しぶりのカテゴリー33.安全関係の記事です。
ハンドガイド式ローラーは、別名振動ローラーともいい、自動車として運転する方式ではなく、手で押す方式の締固め機械です。
機械の自重のほかに、鉄輪や機体に起振装置を取り付け、それによって生じる起振力で締固めの効果をあげます。
二軸式のみ存在します。
砂利や砂など粘性の小さい材料に適しており、振動力により最も深い層まで締め固めることができるので、締固め力が高く、作業通過回数を抑えられます。
動力伝達方式は機械式と油圧式があり、駆動方式は片輪・両輪があります。
「安衛法第29条2」(非常に大切)↓
「機械が転倒するおそれのある場所・労働省令で定める場所において、作業をおこなうときは、元方事業者として関係請負人に対して、関係請負人が危険防止措置が適切に講ぜられるよう、技術上の指導をするとともに、危険防止のための必要な資材の提供や関係請負人と共同して、危険防止の措置を講じなければいけない」
一般的に、ローラーを運転する場合は、ローラー運転特別教育を修了していなければなりません。
この教育では、ロードローラー、タイヤローラー、タンデムローラー等の締め固め機械の運転ができます。
また、小型・大型などの種類はありませんので、すべてのローラーを無制限で運転できます。
ただし、道路交通法の道路上を走行させる運転は除かれます。(法第59条、規則第36条)
ローラーの種類は下記があります↓
1 ロードローラー
2 タイヤローラー
3 振動ローラー
4 ハンドガイド式ローラー
某現場にての、作業状況です↓
(クリック拡大)
5 メッシュローラー
6 タンピングローラー
7 コンバインローラー
さて、ハンドガイドローラーの安全作業です。
じつは、ローラーの種別の災害発生状況で、全体の約60%がハンドガイドローラーなのです。
大型のローラー機械より、このハンド式ローラーのほうが、災害発生率が高いのです。
また、被災状況としては、搭乗式では運転車3に対し、周辺関連作業車7の割合で、非搭乗式では運転者7に対し周辺作業者3の割合となり、非搭乗式のハンドガイド式ローラーでは、運転者自身が災害にあわないよう特に注意が必要となります。
作業状態としては、
転圧作業中が最も多く、全体の約74%を占めますが、積みおろし中の災害、エンジンを始動するときに災害を受けるけことも意外と多く発生しています。
原因としては、
はさまれ災害(他の機器とのはさまれ災害が全体の約42%、電柱・壁・立ち木などが約40%)の割合が非常に高いのです。
転圧時の注意として、
1. 作業開始前の現場状況の確認(立ち入り禁止の措置、路肩・法肩の状況、電柱・壁などの障害物の位置、他の建機の作業位置、作業範囲)。
2. 急発進・急停車は事故のもと。
3. 他の作業者を近づけない、他の建設機械との接触に注意。
4. 周辺には注意するが、無用なわき見運転はダメ。
5. 後進時、あとずさりする方法はさける。
6. 路肩・傾斜地は特に注意。
7. 夜間工事の際は、十分照明を用意。
が挙げられます。
作業現場では、下記のような点検が必要になります。
点検事項
1.機械本体
A. 燃料は十分か、漏れ等はないか
B. 機械の各部、特にハンドルにガタつきや損傷はないか
C. ボルト、ナットのゆるみ欠陥はないか
D. 前後進のレバーに損傷、欠陥はないか
E. 外観及び鉄輪に亀裂、損傷はないか
F. オイル・冷却水の量は適正か
G. エンジンの排気色のチェック、異音はないか
H. クラッチの作動は?滑りはないか
I. 安全装置は作動するか
J. 油圧配管・油圧ポンプの損傷、油漏れ、異音はないか。
2.取扱い作業
A. 機械周囲の第三者立入禁止措置はよいか
B. 電柱、側溝等障害物の位置を確認したか
C. 機械の路肩、法肩からの転落危険はないか
D. 上記危険場所では前進で転圧しているか
E. 傾斜地での横転、横滑りのないよう注意しているか
F. 公道上での作業では、誘導者の配置はよいか
また、下記例のような、安全訓練をぜひ現場にて、実施してみてください↓
この状況で予知される災害は?
道路工事にてハンドガイドローラ(1t)を使用し舗装作業中です。
近くではタイヤローラが同じ舗装作業をしています。
さて、この状況からどんな危険が予知されるでしょうか?
(クリック拡大)
こんな災害が発生しました!
後方からタイヤローラがバックしてきてハンドガイドローラの運転手に接触しまし
た。
特に災害発生防止のポイントを3つ挙げてみます。
- 作業工程と周囲の状況をよく確認してから作業を開始する。
- 近接して作業を実施するときは、監視員を配置する。
- バック時の警報や接近感知用センサー等の安全装置を使用する。
とにかく、「小さいけれど危険は大!」
このことを肝に命じ、安全作業を心がけることが大切ではないでしょうか。
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