タイル工事 試験・調査

学校では教えない「外装タイル引張り試験」の知識と手順

2008年4月19日

タイル工事における、引張試験を紹介します。

タイル施工後の確認及び試験として、一般的に全面にわたる打診検査による浮きの有無の確認と、引張試験機による接着力試験があります。

打診検査とは、施工後、全面にわたり浮きがないかどうかを、打診用テストハンマー等を使用し、タイル面を叩いて、発する音の差で検査します。

張付用モルタルが硬化してから(約2週間程度)の検査になり、気温差により、硬化時間が違いますので、注意が必要です。

浮きがない場合には清音、浮きがある場合には濁音がします。

ただし、浮きの界面や材料特性等により、音に違いが見られることがあります。

ちょっと事例が違いますが、スイカを叩くと、身がしまっているスイカは、重めの音がして,詰まっていないと、軽い音がしますよね。

それと同じことです。
浮いているタイルは、金槌の柄等で叩いても、違った音がします。

次に引張試験です。

各工事仕様書により、多少、試験方法、合格判定基準が違います。

そのなかで、「建築工事共通仕様書」を紹介します。

a. 目地部分をコンクリート面まで切断して周囲と絶縁したものとし、材齢は強度が発現したと思われる時とする。
b. 試験体の個数は、3個以上、かつ、100m2 またはその端数につき1個以上とする。
c. 試験体位置は、監督員の指示による。
d. 結果の判定は、引張り強度が0.4N/mm2(4kgf/cm2)以上の場合を合格とする。

試験方法です。

1.壁面に電動カッター等で試験を行う1枚のタイル周り(四方)の目地を躯体まで切断します。
2.試験体の周囲のタイルが接着ボンドで汚れないよう、ガムテープ等で養生(保護)します。
3.接着剤(エポキシ樹脂ボンド)を、引張り試験器のアタッチメントに塗布します。
4. 試験体のタイルにエポキシ樹脂ボンドを塗りつけたアタッチメントを貼り付けます。
5. ボンドの硬化時間を確認したら試験機を取り付けます。
6. 試験機により、ゆっくり油圧をかけます。
7. タイルが剥がれた時点で、引張強度を測定します。

通常、内装タイル及び床タイルについては、定められている基準はありませんが、張付ける材料にモルタル等を使用する場合は、剥離を防止するためにも、外壁に準ずるのが望ましいとされています。

タイル接着力試験報告書の記載例です↓

1.概要、建物名、規模、構造
2.試験年月日、試験機、試験者、試験立会者、材齢
3.タイル材料メーカー品番、材質、製法
4.タイル施工業者
5.タイル張り面積
6.タイル施工箇所、試験箇所
7.タイル張り施工工法、下地の種別
8.混和剤、目地材、その他
9.現場調合混和剤張付け材料種別
10.裏面形状裏足高さ、裏足本数
11.試験結果
などです。

某マンション外壁にて、タイル引っ張り試験をおこなっている作業状況です↓

 

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