私がこの業界に入り、いろいろな経験をさせていただいた中で、右も左もわからなかった時代に出会い、今でも手元においてある、貴重な本があります。
それが今回紹介する「建築馬鹿」と名打つ本です。
既に30年近く前に読んだこの本は、現在読んでも私の心を打ちます。
ひとことで言えば、施主、設計者、施工者、全員馬鹿ですよと。
100人に一人、利口者がいるとすれば、この世の中の建物で、まともな建物は、100100100=100万であるからにして、100万件に一件ですよと。
強烈な批判とも、皮肉ともいえる毒舌にて、書き綴っています。
他にも「一級建築士制度は、素人だましにしか使えない!」などなど
ここまで、書いていいのかとさえ感じます。
ある意味、特殊な業界の一つと考えられる建設業界であり、特に最近は信用度、信頼度が地に落ち切っているなかで、この本は、30年も前から根本的な問題点を綴っていたのではないでしょうか。
建築にまつわる法規、制度はかなりの部分において変わってきていますが、一番大切な事は何かを痛切に考えさせる一冊であると確信します。
今回記事に取り上げるにあたって、調べてみたところ、全部で「5巻+選集」が発行されていて驚きました。
建築馬鹿〈第1集〉どろぬま建築論 (1969年) 矢田 洋
建築馬鹿〈第2集〉脱出編 (1970年) 矢田 洋
建築馬鹿〈第3集〉イチャモロジー (1971年) 矢田 洋
建築馬鹿〈第4集〉感情建築論 (1973年) 矢田 洋
建築馬鹿〈第5集〉妄想から家学へ (1975年) 矢田 洋
建築馬鹿・選集 矢田 洋 (単行本 - 1994/2)
出版は、株式会社鳳山社です。
建築関連本を多く出している出版社としては、「彰国社」が有名ですが、鳳山社も、厳選された建築関係のいくつかの本が出ています。
その中でも、この建築馬鹿シリーズは、ヒットではないでしょうか。
昔の本ですが、秋の夜長に読んでみてはいかがでしょう。
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